特集 インタビュー vol.01
2012/10/17

共に支え合う
関係をめざし
真の『共生』を
実現する

国立大学法人 筑波技術大学

障害者高等教育研究支援センター 教授
石田 久之

キャリア形成に関わる教育にも重点を置いています

筑波技術大学は、1987(昭和62)年に3年制の短期大学としてスタートし、2005(平成17)年10月から4年制大学を開学。聴覚・視覚の障がい者を対象に設置された国内唯一の国立大学です。お話を伺ったのは、同学障害者高等教育研究支援センターの石田久之教授です。

「職業知識と技術について、高度な専門性を備えた人材の輩出。これが建学以来の基本的な考え方です。さらに4年制大学になって以後は、専門性に加え指導者となりうる幅広い教養と、障がいについて自分のことだけでなく他者の障がいに関する知識も身につけてもらうという“基礎教育”に力を入れています。これは、基礎教育を通じて総合的な人間形成を行い、たとえば企業である地位を得た際、障がいのある部下にきちんと対応できる“指導者”になってもらうことを目的としています。

現在、障がい者の社会進出は徐々に拡大してきており、企業もその大きな分野の一つです。そのため本学でも、就職支援にとどまらず、これまで遅れていたキャリア形成に関わる教育にも重点を置くようになりました。また、障がい学生のためのキャリア支援は、健常学生に対するキャリア支援の充実につながる部分は必ずあるはずです」

障がい者と健常者が共に支え合ってこその「共生」です

「キャリア教育が行われていくようになれば、自分のキャリアがどのように保障してもらえるかに関心が向くのは当然のことでしょう。企業であれば、入社後のキャリア形成に関する要求、つまり健常の社員と同等の研修への参加要望なども出されるようになるはずです。これは、障がい者自身が『健常者に支えられる存在』という意識から脱却することに通じます。

『障がい者との共生』ということがよくいわれます。この『共生』が、健常者と障がい者が一緒にいるという程度のことを意味するものと捉えるのであれば、理解が不十分ではないでしょうか。より積極的に、健常者が障がい者を支えると共に、障がい者も健常者を支える存在になると捉えたいですね。

本学の宿舎には、全盲の学生と弱視の学生がいます。半分冗談、半分本気でよく言うのですが、夜、停電になったなどという場合は、全盲の学生が弱視の学生を誘導しなさいよ、と。健常者や他の障がい者を支えようという意識を常にもち、実際にそれが行われる。これが当たり前の社会や企業であることが、真の『共生』だと考えています。

企業で働くとは、その会社の力になることです。言葉を換えるなら『支えられるだけの関係』から『支え合う関係』の構築になります。一方向ではなく双方向の関係。これをきちんと理解できる障がい学生を育てていくのが私の務めでもあります」

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