障がい者雇用の取り組み vol.13
2013/05/31

「人財がすべて」
のITCNでは
「フェアにともに」
を貫き通す

プロフィール

アイ・ティー・シーネットワーク株式会社

人事総務部 部長
山田 泰
法人ビジネス企画部 MS課 課長代行
林 美佳

働く職種を限定しない方針が
「人財」の「個の価値」を向上させる

アイ・ティー・シーネットワーク(ITCN)の事業の核は、NTTdocomo、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルなどの一次代理店として、全国に展開される「携帯キャリア」直営ショップの運営です。接客はすべて同社の社員が担当し、彼らを支援するバックヤードのスタッフも、同社の社員で占められています。

今回お話を伺ったのは、人事総務部部長の山田泰氏と法人ビジネス企画部の林美佳氏。林氏は長く障がい者採用担当を務めてきました。

「当社では障がい者採用に関して、当然必要な配慮はしますが、特別扱いはしません。ですから特別な職種を用意するということはありません。本人の経験・スキル・キャリアビジョン等を考慮して業務をお願いしています。当然、ショップでの勤務をしていただくこともあります。当社が行うのは『お客様接点の業務』。社員の70%がショップで勤務しています。そんな業務の価値を上げるのに不可欠となるのが、スタッフ個々の接客スキル。また、商品に関する知識と人間的な魅力です。したがって、個の価値を上げることは当社の価値の向上、具体的には携帯キャリアとショップに来てくださるお客様からの高評価に直結していきます。個の価値を向上させるのに障がいの有無は関係ありません」

山田氏がこう語るように、ITCNでは「『個の価値創造』が会社の成長になる」と考えています。「人材」を「人財」と表現する理由は、そこにあります。
「『モノ』を製造して販売するわけではない当社にとって、財産は働く社員です。ここでいう『個の価値創造』とは、『自己成長できる人財』を意味します」
これを象徴するエピソードを林氏から聞くことができました。

「例えば、聴覚に障がいがあるからその方のコミュニケーション能力が高くないかというと、そんなことは全くありません。一緒に働く仲間たちの気持ちを理解し、自分には何ができて何ができないかをきちんと伝えることができる。そして成長する意欲のある方なら、しっかりと会社の戦力として働いていただいています。

とある聴覚障がいの社員で、ショップのバックヤードで事務を担当している方がいます。その方の作る店内に飾るPOPが、お客様の気持ちになって作られていて、非常に評判が良い。他の店舗からも要望があり、彼女は現在2店舗でPOP制作に携わっています。また、別の聴覚障がいの社員は、他のショップのスタッフが販売目標をもって活動するのに対し、『自分だけ目標がない』ことで悩むようになりました。

そこで彼女は『みんなの役にたちたい』とマネージャーに訴え、『販売した端末の設定業務』を担当することになりました。月の設定数の目標を作り業務を始めると、他のスタッフは接客に専念できるようになり、成約数も伸びて目標はラクラクとクリア。業務に関する評価は高く、他のショップからも困った時に依頼が来るほどになりました。そこで、私たちのところに『彼女を呼び出せる方法はないか』という要望が寄せられたほどです。早速、聴覚に障がいがあっても呼び出しに気がつく機器を配備しました。現在、彼女はショップに欠くことができない人財になったことを実感しているはずです。なにしろ、ショップのスタッフが手話を覚えようと勉強を始めたほどですから」

彼女の成長は、周囲の成長をも促したようです。

「主体的に」「フェアに」「誠実に」という
“3つの姿勢”を提示し人財の自己成長を促していく

ITCNでは、自己成長を支えるものとして、社員に「主体的に」「フェアに」「誠実に」という3つの基本姿勢を提示しています。これは「自分を成長させたい」と社員が「誠実に」考え、それに対し障がいの有無は関係なく、会社は「フェアに」仕事を担当させ、その仕事に各社員が「主体的に」取り組むことで「個の価値」を高め、「会社の価値」を高めることにつながる、という考え方です。

「その考えから、障がい内容に関係なく、当社ではショップでも勤務していただきます。特に当社はパナソニック テレコム株式会社と昨年合併し統合したことで、現在、非常にショップ数が多い。またスマートフォンの普及に伴う業務量の増加もあり、店頭は非常に忙しい。そこで、やはり当社の本業であるショップで活躍できる『人財』を増やしたいという考えがあります。もちろん、直接接客だけでなく、ショップのバックヤード業務も含めて、ショップ支援に携わっていただきたいと思っています」

山田氏は「自己成長してくれる人財を積極的に採用したい」と意欲的です。同社では積極的な採用を続けるために、入社後のミスマッチを避けることが不可欠だと考えています。そのための取り組みとして、林氏は次のように説明してくれました。

「当社では、採用面接の過程で必ず職場見学を実施することで入社時の業務内容を理解していただく取り組みをしています。また、新卒社員の方には、働く前に少しでも早く職場や仕事に慣れるため、希望者を対象に入社前の内定者実習を行っています。これは実際に配属先となる職場で一定期間、勤務していただく制度です。当然アルバイトとしての賃金も発生します。今年入社した視覚障がいの社員は積極的にこれに参加し、社内のどこに何があるかを把握することや、自分が入社後に使用するPCで音声ソフトが使えるかなど、働く前準備をしました。

それによって、彼女は働くにあたって感じていた不安の解消につながり、自分の可能性が広がったといいます。これは新入社員だけでなく、周囲の理解促進にもつながり、互いに良い効果をもたらしています。この取り組みは今後も続けていく方針です」

ITCNは職域の拡大、環境の整備に取り組みながら、さらなる積極採用をめざしています。

この記事をシェアすることができます。

トップに戻る

障がい者雇用の取り組み BackNumber