障がい者雇用の取り組み vol.25
2013/09/10

理解の浸透により
誰もが活躍できる
土壌形成をもたらす

プロフィール

株式会社大塚商会

人事総務部 部長
高橋 優樹

“先人”たちの実績が
今日の土壌形成につながる

株式会社大塚商会周知のとおり、2013年4月から、一般企業の場合、法定雇用率が従来の1.8%から2.0%に引き上げられました。今回お話をうかがった株式会社大塚商会は、雇用率の改定前から2.0%を満たしていた企業の1社です。

しかし大塚商会であっても、障がい者雇用が最初から順調だったわけではありません。現在のような、採用から雇用(定着)までの体制が整い始めたのは、2006年ごろからのことです。

人事総務部部長の高橋優樹さんは、当時をこう振り返ります。

「障がいのある方を迎えるにあたり、どのような仕事をしていただくのが最善なのか、長期的に働いていただくにはどのような体制をとるのがベストなのか。障がい者雇用を進めながら、さまざまな試行錯誤を行っていました」

この時期に入社した人材を、高橋さんは”先人”と表現します。

「先人たちの実績があり、徐々に当社の障がい者採用および定着が軌道に乗ってきたのだと思っています」

『先人たちの実績』がもたらしたのは、障がい者を迎え入れる際の考え方に反映されました。

「それは、障がいがあるからといって、必要となる配慮を除き特別な対応をしない、という考え方を基本に置いたことです。『この仕事だけ、この職場のみ』ということではなく、すべての可能性を肯定的に捉え、健常者と同じ仕事、職場で働いてもらう。実際、まったく遜色なく業務を遂行し成長していってくれることがわかり、併行して障がい者雇用に対する職場の理解が全社的に深まってきました」

『可能性を肯定的に捉える』場合、大塚商会では『個の重視』を根底に置いています。

「たとえば、同じ障がいであっても、どのような職種や仕事に就くかによって可能性の広がりは異なってきます。それを見きわめて適所に配属を行えば、一人ひとりが可能性を発揮していくことができる。現在は、先ほどお話をしたように職場への理解が浸透しているので、現場でも個人に合わせ調整してくれています。結果として、みんなが同じように活躍できる土壌が形成されています」

『個の重視』とそれに即した施策と活動が
障がい者雇用の実績につながる

大塚商会が『個の重視』で障がい者雇用に実績を上げている大きな要因は、採用を担当する人事の施策とスタッフの取り組み体制にあります。

「当社では、5年前(2008年)から、新卒者を対象に当社単独で障がい者向けの会社説明会を行っています。5年間で100回ほどになります。障がいのある方の中には、一般応募の合同説明会・面接会に出向かれる方もいらっしゃいます。当社も参加しているのですが、障がいのある方の場合、たとえば、車いすの方には会場がバリアフリーであること、聴覚障がいの方には手話通訳士などの用意、また体調面の変化に備え医療関係者を置くことなどが求められます。単独の説明会・面接会であれば、それらがすべて可能です。この施策は、採用担当者の企画提案により実行されることになりました」

大塚商会では、説明会を本社の会議室で実施。高橋さんがいわれる配慮は、もれなく行われています。説明会の目的は、会社を理解してもらうことと、それを通じて求める人材を採用することです。

「採用を担当するスタッフは、説明会・面接会の場で、当社に興味をもった方たちと対話を繰り返し個々人の適性を判断していきます。『この人にはこういう仕事が適すのではないか』『この人にはこの仕事をやってほしい』というだけでなく『こういうことができます』『このような仕事がやりたい』というところまで引き出していく。それが私たちの求めるところであり、あとは希望に沿った職種や業務に就いて、自分の可能性を広げるためのチャレンジをしてもらえればよいと考えています」

大塚商会の『個の重視』は、入社後も採用担当スタッフにより継続されていきます。

「最近実施したことでは、入社直後、そして配属から1カ月、6カ月後の時点で個人面談を行い、同時にアンケートを取ります。この面談とアンケートは、入社3年が経過するまで実施します。入社1カ月後、6カ月後というのは、さまざまな壁に突き当たる時期です。そのタイミングで、採用活動の段階から対話を重ねてきたスタッフに悩みを伝え、その解決策を考えていく。顔なじみなので気軽に相談できる点が、解決を早めることにつながっています。その面談のために採用担当は、全国を飛び回っています」

障がいの有無に関係ないということでは、充実した研修制度も同様です。入社前、入社後の新人研修、それから3年間にわたるフォローアップ研修。空き時間を使って行うeラーニング。テーマを決めて終業後、社内外で行う選択型研修等々。自己啓発、自己成長のための研修は幅広く用意されています。

「当社では、若干ではあるものの、まだ受け入れが難しい障がいの方がいます。そのような方を受け入れられる環境をどう整えていくか。これが今後の課題であり、解決すべき大きなテーマです」

これまでの高橋さんのお話からもわかるように、障がい者雇用への取り組みでは試行錯誤を避けて通ることができません。しかし、成果を上げた事例を知ることで試行錯誤の期間を短縮することは可能なはずです。たとえば、大塚商会の『個の重視』とそれに即した施策と活動などは、その大きな1つになるのではないでしょうか。

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