障がい者雇用の取り組み vol.39
2014/11/17

「人に優しい」社風が
障がいのある人を
自然に受け入れる
土壌を生んでいる

プロフィール

日本ガイシ株式会社

人事部採用グループ マネージャー
田中信治

「障がい者採用増の必達」という経営方針のもと
職域拡大により雇用の大幅改善を一挙に実現

NGK_P_280日本ガイシ株式会社の障がい者雇用率は、2009年度1.68%、10年度1.45%、11年度1.51%。それ以前も含め同社では、民間企業に当時義務づけられていた法定雇用率1.8%を下回る状態が続いていました。しかし翌12年度には1.91%と大幅に改善。さらに、法定雇用率が2.0%に改正された13年度は2.07%となり、初年度から数値をクリアしています。同社の雇用率が12年度に急上昇した背景には、きちんとした準備期間がありました。

日本ガイシの障がい者採用及び定着への本格的な取り組みは、法定雇用率未達成の時期から始まっています。今回お話をうかがったのは、人事部採用グループで障がい者の採用及び定着を担当されている田中信治マネージャーです。
「30年ほど前から当社では、愛知県立名古屋聾学校の卒業生を、毎年1名ないし2名定期採用してきました。配属先はすべて製造現場ですが、安全性を考慮し、主に製造ラインではなく検査工程の業務に就いています。現在では数十名が在籍しており、年長者は50歳近い年齢の方です」

これだけの実績があっても雇用率が低迷を続けた原因は、職域の偏りにありました。製造現場だけでは採用数も障がいの種類も限られてしまいます。
「採用を増やすには、職域の拡大が不可欠です。採用増には『現状のままでは企業責任が果たせない』という経営層の強い意志が反映されています。そうした背景のもと、職域拡大の取り組みは一般職(事務職)からスタートすることになりました。新卒者採用に当たっては、一般職、総合職の別なく、人事が各部門の人員増に関するニーズを集め、それに従って計画を立案し採用活動に入ります。一般職のニーズが出た場合は、障がいのある方を優先的に採用する。ニーズを出した部門には、部門長(部長クラス)に『人事が全面的に支援を行いますので、受け入れをよろしくお願いします』と話をします」

経営層から出された採用増の方針。職域拡大の展開。こうした助走段階を経て、2011年から障がいのある方の一般職での入社が始まりました。そして冒頭に紹介したとおり、翌12年度に雇用率は大きな上昇を示したわけです。

配属先でのマンツーマンの<相談員制度>を核に
障がい及び障がいのある社員に関する啓蒙ネットワークを構築

「最初は部門のニーズに沿って一般職での採用活動を行いましたが、現在はそれに留まりません。経営層の方針は『障がいのある方を積極的に採用していく』というものです。採用活動のために大きな予算もつけています。私がやらなければならないのは、職場の開拓、業務の発掘。経営層や人事部長の強力なバックアップがありますので、私も動きやすい。経営方針は全社に公表されているため、部門長に協力要請をしやすい環境です」

障がい者の雇用を短期間に拡大させるためには「経営側の意思表明」がいかに重要なのかがわかります。もっとも、田中さんによるとこれまで配属後に人事が介入しなければならないような問題が発生したケースは皆無だといいます。もちろん、人事では本人と配属先との間でミスマッチが生じないよう、あらかじめ必要な施策を設けています。それは<相談員制度>です。

「障がいのある方の配属先が決まると、その方には入社から2年間、専属の相談員がサポートを行います。相談員は、配属先の先輩社員など。相談員になってもらう人については、教育担当部門が事前にガイダンスを行います。内容は、相談員制度の意味、接する際の注意点など、サポートするに当たって必要な情報を伝えます。この相談員が、職場に戻って啓蒙を行うことが、障がい及び障がいのある同僚に関しての啓蒙活動になります。こういう形のネットワークを作っています」

配属後、問題が生じない理由は、相談員の存在とこの啓蒙活動のネットワークによるものなのです。
「相談員には、困ったことがあったらいって来てくれるよう伝えていますが、それは一度もありません。これについて私は、社風も大きく関係していると思っています。製造業はチームプレーの世界で成り立っています。そのため『チーム全員で良い仕事をしよう』という社風が浸透しており、そのベースにあるのが常にコミュニケーションをしっかり取るという姿勢です。

また、企業理念では『より良い社会環境に資する商品の提供』や『人間性の尊重、快適な職場環境の確保』を謳っています。つまり、人の暮らしに役立つ製品を世の中に送り出しているという自負や、人に優しい職場でなければならないという意識が常にあるという環境。これが障がいのある方を自然に受け入れるという土壌を生んでいるのだと考えています。また、障がいのある社員の頑張りも周囲への理解・共感に繋がっていると思います。実際、障がいのある社員の定着率は、かなり高いです」

そして、一般職で採用・定着の実績を積んでいくのと併せ、田中さんは今後、「総合職での採用を拡大させていきたい」と展望を述べました。

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