障がい者雇用の取り組み vol.42
2015/03/25

障がいのある職員が
あらゆるフィールドで
活躍している

プロフィール

日本放送協会 (NHK)

人事局 副部長
丹治 洋子
人事局
米満 泰彦

障がいのある職員が働く光景は
どの職場でも日常になっている

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 NHKの障がい者雇用の方針、つまり働くことに関する大前提は「特別扱いはしない」ということです。
 「もちろん必要な配慮はしますが、仕事については障がいの有無に関係なく、ご自身の個性を生かして働いていただくことをもっとも大切にしています」
 人事局の丹治洋子副部長は、このように話してくださいました。また、「NHKは職種が大変に多く、そのほとんどで障がいのある職員が活躍しています」とのこと。

 NHKの業務は「番組の企画制作・取材」「放送事業のマネジメント」「放送技術」の三分野で構成されています。
 「たとえば、番組の制作。ディレクター、カメラマン、アナウンサー、記者はどなたもご存知でしょうが、さらに、映像編集、映像デザイナー、音響デザイナー等々、さまざまな職種のスタッフが番組づくりを支えています」
 Eテレ(以前の教育テレビ)で、『バリバラ~障害者情報バラエティー~』という番組が放映されています。さすが大阪放送局の制作だけあって、実に個性豊かな内容です。
 「番組の立ち上げ時のディレクターには、障がいのある職員もいて番組制作に携わっていました」

 このようにNHKでは、障がいのある職員が働く光景は、どの職場でも日常のものなのです。
 「これは、昨日今日のことではありません。いつからか分からないほど、地方の局も含めNHK全体に広がっています。そのため、受け入れに問題が生じることはなく、配属の際、障がいの内容とやってもらいたい配慮について伝えますが、業務を進める中で新たに必要となった配慮に関しては、職場ごとに工夫して進めてくれています」

 NHKでは、職種別で募集を行っています。各職場は、その業務分野のスペシャリストばかりです。当然、職種によって業務の性格がまったく異なります。そのため、業務の特性に合わせた配慮については、職場ごとに行っているということです。

すべての人が“ともに生きる”社会の実現は、
公共放送の使命のひとつ

 NHKと職員の障がい者雇用に対する意識の高さは、何によって生まれ現在に至っているのでしょうか。丹治さんはこのように話されます。
 「NHKは、日本で唯一の公共放送事業者です。公共放送が果たさなければならない大きな使命の一つが、福祉に関係する番組づくり。Eテレの『ハートネットTV』『バリバラ』やラジオ第2の『視覚障害ナビ・ラジオ』などのレギュラーの他、単発でもさまざまな取り上げ方で福祉関連の番組やニュースを制作しています」

 番組だけでなく、イベントにも力を入れており、スポーツ・文化の両面で幅広く展開しています。「NHK福祉大相撲」「NHKハート展」は、ご存知の方も少なくないはずです。

 先にNHKの業務分野を紹介しましたが、その柱の一つである「放送技術」の研究部門でも、福祉に密接なかかわりのある開発を行っています。
 「放送技術研究所では、現在『人にやさしい放送』の研究を進めています。聴覚に障がいのある方に向けては、生放送に自動で字幕をつけることができる音声認識技術や日本語を手話CGに自動変換する技術が、視覚に障がいのある方に向けては、図やグラフなどの2次元情報を触覚刺激で提示する技術や、美術品など立体の形状、硬さを再現する力覚提示技術が開発されています。データ放送の内容などを自動音声で読み上げたり、専用の触覚ディスプレイに点字を浮き出させることで提示するシステムの開発も進めています。
実用化が始まれば、多くの障がいのある方にテレビをより楽しんでいただけるようになります」

 公共放送であるNHKの職員は、福祉にかかわる番組づくりや技術開発に直接携わっている人はもちろん、そうでない場合でもNHKの使命はしっかりと認識しています。これが、障がいのある人と、共に働くことに対する意識の高さを生んでいるわけです。

 そのNHKでも、障がい者採用には苦戦をしているとのこと。
 「マスコミということで、忙しい、仕事がハード、というイメージをおもちの方が少なくありません。全国の放送局への転勤があるのもネックになっているようです。しかし、NHKの仕事はとてもやりがいがあり、皆さん一人ひとりの個性を活かすことができる職場環境があります。また、NHKではワーク・ライフ・バランスの推進に力を入れており、たとえばフレックス勤務も可能ですし、在宅勤務など多様な働き方ができる体制を作りつつあります。多様な働き方、多様な個性、多様な価値観と、多様性に富んだ組織にしていく。それによって一人ひとりの仕事と生活が豊かになる。この考え方でワーク・ライフ・バランスを進めています」

 全国転勤に関して丹治さんは、「勤務地によっては、バリアフリーがより整っている局舎があったり、車通勤が可能になったり、通勤時間が短くなったりと、より働きやすい環境が整っている場合も多く、ワーク・ライフ・バランスに資する働き方が選択できます。そして、私も転勤していますが、地方にはそこにしかない良さがあります。それを地域だけでなく全国に発信していくというやりがいも生まれます。地方勤務は本当に楽しかったですね」ということです。

 NHKの採用パンフレットの表紙には、「世のため、人のため、君だけの仕事がある」というキャッチコピーが掲載されています。その意味については、紹介した職場環境とNHKの使命が教えてくれています。

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