障がい者雇用の取り組み vol.49
2015/10/29

現場を支える
障がいのある社員の
働きが根幹理念
「安全を守る」を
実現する

プロフィール

東京地下鉄株式会社(東京メトロ)

人事部 人事課長
戸田 博史
人事部 労務課 課長補佐
池田 義晃

ダイバーシティ推進担当を発足させ
初の障がい者採用を開始する

東京メトロ東京地下鉄株式会社(東京メトロ)では、2012年、多様な人材の活用を目的として、人事部内に「ダイバーシティ推進担当」を発足させました。これに伴い同社は障がい者の採用を開始。第1期生の入社は2013年です。

「以前から障がいのある社員はいましたが、新規採用は初めてでしたので、まず、本社の人事部に配属。事務関係の業務に就いてもらうことにしました」(人事部労務課・池田義晃課長補佐 ダイバーシティ推進担当)

鉄道事業は、列車運行にかかわる現業部門を中核としていますが、その一方、本社の部門も多岐にわたります。
「現業ではなく“事務採用”での募集を行っています。本社各部門の業務の幅は広く、配属先に困ることはありません。1期生は人事部において、それぞれ採用業務、管理業務、事務業務を担当。2期生からは人事部以外の各部で管理業務と、それぞれ仕事の内容は異なっています」(池田さん)

「配属先に困ることはない」のは事前にわかっていたものの、「初の障がいのある新規採用に不安がなかったわけではありません」と池田さんは言います。
「どのような方が採用できるか、どのような配慮が必要かなど、心配なことはいくつもありました。人事を最初の配属先にしたのはそのためです」

池田さんのこうした不安や心配をみごとに払拭してくれたのは、採用した方自身でした。
「実際に業務に就いてもらうと、必要な配慮さえすれば、他の社員と同等に力を発揮してくれることがわかりました。身近に接することで、以後の採用について私たちにも自信がつきました」

定着促進に関しては、配属後一定期間を経過した時点でフォロー面談を行うほか、1年経過後、2年経過後、3年経過後に個別面談を実施しています。

社内の一体感、風通しの良い風土が
職場での理解促進につながる

「安全を守る」
これは東京メトロなど、鉄道を事業とする企業にとって根幹を成す理念です。

「地下鉄の安全を守るという使命は、当然ですが決して独りだけでやれるものではありません。基本となるのは、チームによる業務の遂行。これが仕事の大半を占めています」(池田さん)

現業での業務経験が長い池田さんは、次のように続けます。
「宿泊勤務もある現業の社員は、安全を守るため文字どおり寝食を共にして働いています。これにより職場には家族的な雰囲気が生まれ、それが当社の風通しの良い社風に結びついているのです。この点は、本社の各部門も同様な雰囲気だと思います」
第一線でお客様と接する現業の社員。それをバックアップする事務方の社員。風通しの良い社風、つまり「安全を守る」という使命感がこの連携の背景にあるわけです。

「現場が安全運行に集中するためには、たとえば駅での事務的業務をどれだけ軽減できるかが重要になります。“軽減”を担うのが、本社の事務部門。現業でやらなくてもすむ事務的業務をどれだけ本社でサポートするか。“軽減”はこれにかかっています。できる人が意欲的にそれを行っていく。この一翼を事務系職種に就く障がいのある社員が担っています。この“一体感”が、“安全を守る”ために非常に重要なのです」(人事部人事課・戸田博史課長)

安全を守る、そのために不可欠な風通しの良い社風。そしてチームワークと一体感。以上のことは、すべて社員のコミュニケーションの良否にかかわるものです。東京メトロの本社事務部門では、2014年の夏から、業務における生産性向上とコミュニケーションの円滑化をより促進するため、席を固定しない「フリーアドレス」という制度をはじめています。これは、出社したら決まった席はなく、自由に座ることができる取り組みです。

「こうした当社の風通しの良い社風、家庭的な雰囲気の中、現在、社内では『多様な社員と共に働くこと』が『当たり前のこと』として浸透しています。障がいの有無、性別、年齢…。そうした人材の多様性を皆が理解し、一つのチームとして業務にあたる。社内の理解が促進されているため、多様な人材が能力を最大限に発揮するために必要なサポートを、周囲の誰もが自然と行っています」(戸田さん)

多様な人材がやりがいを持ち、全社員一丸となって共に働く。これこそが、「ダイバーシティ推進」のあるべき姿。それを同社では無理することなく遂行しています。
「これは、当社の根本に『安全を守る』意識が浸透しているからだと思います。この場合に守りたいのは、地下鉄を利用するお客様の安全だけでなく、働く従業員の安全も含まれます。今後も皆が安全に、安心感を持って働くことができる職場環境を築いていきたいと思っています」(池田さん)

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