障がい者雇用の取り組み vol.62
2017/03/30

一人ひとりへの
理解を深めることが
障がい者雇用の
領域拡大をもたらす

プロフィール

富士フイルム株式会社

R&D統括本部 事務部長
岩田 克己
人事部
礒野 晋作

“ノーマライゼーション”をベースとし他の社員と共に
働くための業務拡大、育成のための環境づくりに力を注ぐ

いわたさん今回お話をうかがったのは、R&D統括本部事務部長兼人事部マネージャーの岩田克己氏と人事部の礒野晋作氏のお二人です。お二人とも本社ではなく神奈川の研究開発拠点事業場に所属しながら、全社の障がい者雇用推進の事務局機能を担っています。岩田さんはそのような推進体制である理由を次のように話します。

「神奈川事業場は従業員数最多で、研究開発、生産、事務と幅広い職種を活かしながら障がい者雇用拡大をリードするポテンシャルのある事業場であったため、事務局機能を本社から移しました。私たちが障がい者雇用推進の中核を担うわけですから、率先して雇用拡大に取り組み、併せて他事業場やグループ会社に働きかける役割を担っています。」

礒野さんは次のように付け加えます。
「現場にはさまざまな業務があり、たとえば研究所では開発・実験補助、事務、清掃、クリーニングなど多岐にわたり、様々な障がいのある方が就業しています。どの業務も、障がいのことも含めた個々人の能力や適性をよく見極めた上でトライしてもらい、徐々に担当業務の範囲を拡大していくようにしています。ですから、障がいのある方には『自分たちができる仕事が広がっている』という実感を少しずつ得てもらえていると考えています。また、他の社員からは『力になってくれている』と働きぶりに対して評価が定着してきています」

富士フイルムが障がい者雇用推進において重要視しているのは“ノーマライゼーション”、つまり「障がい者が健常者と分け隔てなく、スムーズに社会参加できる環境を整備する」という考え方で、これに沿って役割拡大や人材育成に取り組んでいます。特に新人育成においては「指導員制度」という成長を促す仕組みがあります。

「一般の新入社員と同様、入社後3年間は同じ職場で選任された指導員によるOJT教育で育成を行います。障がいのある方もその特性が個々で異なるため、指導員による教育も一人ひとりの状況にマッチした形で個別に対応するようにしています。一人ひとりに合った教育を確実に行うために欠くことのできないのが、担当する新人をしっかりと見て、そして常に円滑なコミュニケーションを図ることです。これを徹底することにより個々人の人となりや特性について理解が進み、着実な育成につながっていくものと考えています」(岩田さん)

富士フイルムが掲げる「働きやすい職場」は
すべての社員が共に考え創り出していくもの

いそのさんここ数年、富士フイルムでは知的障がい者の雇用を精力的に進めています。
「従来、当社では身体障がいの方を中心に雇用を行ってきました。グループ全体での雇用率は法定水準を達成していたのですが、さらに雇用率を拡大しようということで知的障がいの方の雇用をスタートさせました。最初は研究所の清掃業務、次いでクリーニング業務、事務補助業務が加わりました」(岩田さん)

知的障がい者雇用に関する経験がなかったため、業務新設に際し管理監督要員として知的障がい者の就労支援経験者を雇用。これにより会社とメンバー双方に安心感が醸成され、導入が円滑に進んだといいます。加えて、支援機関との定期的な情報交換の場を活用し、メンバー一人ひとりに対しての理解を深めていったのです。

彼らの働きぶりとその影響について岩田さんは次のように話します。
「折に触れ、仕事中の彼らをじっと見ています。清掃やクリーニングはルーティンワークがその多くを占めますが、たとえば窓ガラスの汚れたところを見つけたらそこを熱心に拭いている。非常に一生懸命なのです。自分たちも彼らのような姿勢で日々の仕事に取り組めているのか、振り返ってみるわけです。私は機会をみて部下にこの話をし、彼らの仕事に対するひた向きさをあらためて見習い実践していこうと伝え、行動を促しています。彼らの仕事に接する現場の人間には、『お疲れさま』と声をかけたり『いつもありがとう』と礼を言ったりする者もいます。ほんのちょっとしたことですが、これが彼らの働きがいややりがいにつながっているのです」

働きがい、やりがいは、未知の仕事に取り組む意欲を喚起します。
作業が丁寧で常に真剣に取り組む彼らには、今後、さらに働きがいとやりがいへの道が開けていくはずです。

富士フイルムの障がい者採用・雇用には、二つのルートがあります。一つは、「正社員」採用。このコースの場合、仕事の内容、勤務時間、勤務地などすべてにわたり他の正社員(総合職、一般職)と同じ労働条件となります。
もう一つは、「嘱託社員・契約社員」採用。仕事の内容、勤務時間、勤務地などをより個々の事情やニーズに配慮することが可能な雇用形態になります。
なお、契約社員(有期雇用)から嘱託社員(無期雇用)、さらに正社員登用への道も開かれています。

富士フイルムのホームページには「富士フイルムの障がい者採用への考え方」という一文が掲載されています。その後段部分を紹介しましょう。
「各職場を見ると就労支援のあり方にばらつきもあり、十分に配慮できていない部分もまだあると考えています。入社後はぜひ意見や要望を伝えていただき、全社員にとって働きやすい職場を皆さんと共に考え、サポートしていきたいと思います」

指導員制度による成長の促進、新たな無期雇用制度導入など、障がい者雇用にかかわる働きやすい職場の実現に向け、富士フイルムは不断の努力を続けていく。上記の文章は、その宣言なのだと受け取りました。

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