障がい者雇用の取り組み vol.72
2018/02/12

「人を大切にする」
企業文化をベースに
障がいのある社員が
自己実現を実感できる
環境を全社で構築

プロフィール

株式会社フジクラ

人事部採用・キャリア開発グループ
グループ長
松岡 高史

樺 里絵子

「お互いを尊重し、人を大切にする」企業文化が
障がいのある社員の長期勤続と離職率の低さを生む

まつおかさん今回は、人事部採用・キャリア開発グループの松岡高史グループ長、樺[かば]里絵子氏に話をうかがいました。

最初のテーマは、「フジクラにおける障がい者雇用の原点」について。松岡さんは、次のように話します。
「さかのぼれば、下肢障がい、つまり車いすの方の雇用からスタートしたと聞いています。受け入れに際しまず考えたのは『車いすの方に仕事をしていただくためには、働きやすい環境づくりが不可欠』ということでした。そのため、スロープやトイレなど設備面での大改造を行ったのです。以後、車いすの方のネットワークを通じて、雇用を継続していきました」

フジクラの場合、障がいのある社員で、勤続年数が15年、20年超というケースが珍しくありません。また「離職率も非常に低い」(松岡さん)とのこと。いずれも下肢障がいの方だけに限りません。しかし、「設備面の大改造」という物理的な施策だけで、果たしてこのような成果が生まれるものなのか……。それを解き明かすための次のテーマは「フジクラの企業文化」です。
「当社は、社会を支え発展させるためのインフラ構築に欠くことのできない電線ビジネスを事業として創業しました。電線ビジネスは、公共性の高い企業間取引、BtoBですから安定性が高い。社会への貢献度が高い事業とその安定性は、ごく自然な形で『お互いを尊重し、人を大切にする』という企業文化醸成につながっていきました。この企業文化は、障がい者雇用の面でも普遍性のあるものでした。具体的には、ハンディキャップのある方を受け入れた部署では、その方に職場の仲間として働いてもらうため自分たちは何をすれば良いのか。それを自主的に考え、サポートなどを行っていく。要するに、受け入れた方と自分たちとで話し合いながら必要な調整をしていくわけです。このように職場単位でしっかりとマッチングさせてきました」(松岡さん)

フジクラの企業文化について、松岡さんは「元をたどれば『藤倉学園』にある」といいます。
「1919年に創設された『藤倉学園』は、知的障がい者・児童の自立支援のための施設です。この『藤倉学園』への支援が、当社の社会貢献活動の根幹であり、『お互いを尊重し、人を大切にする』という企業文化を生む大きな要因にもなりました」
「藤倉学園」に対する支援活動には、社員も参加します。その内容と成果を樺さんから紹介してもらいました。
「新入社員は、研修の一環として『藤倉学園』で『1日ボランティア活動』を行います。活動は、たとえば施設内の『雑草抜き』『窓の拭き掃除』『ペンキ塗り』などです。このボランティア活動を通じて、障がいのある方に関する彼らの意識が大きく向上していく。私たち人事のスタッフは、それを実感しています」

障がいのある人の自己実現や生きがい、喜びを
フジクラの仕事を通じて実感できる環境を構築する

かばさん松岡さんは、フジクラの企業文化によっている「これまで」の障がい者雇用に関し、雇用率の引き上げや社会貢献が企業価値としてみられる時代になった「これから」は、どのように変わるのか。この点について、松岡さんにうかがいました。

「課題は2点。1つは、これまでの国内での電線ビジネスに加えて、海外との取引やスマートフォンに使われる電子部品事業、自動車の電装部品事業、超電導・太陽電池・エコ材料分野などの研究開発などを精力的に進めています。それに対応し、障がい者雇用の面でも『どのような人材を求めるのか』ということが、以前に増してクローズアップされてきたのです。もう1つは、法定雇用率の引き上げ。現在は2.2%を満たしていますが、今後、引き上げが確実に続く雇用率をどう達成していくか。これは、当社のCSRに大きくかかわるものです。この2つの課題の解決には、組織的に取り組まなければなりません」

「組織的な取り組み」とは、これまでのように「職場の自主性だけに依存しない」ということです。すでに動き始めている「組織的な取り組み」に関して、樺さんはこう話します。
「各部門に、キーマンとなる責任者を置いています。キーマンは、自身の部署で受け入れるべき障がい者を数字の面からきちんと把握するとともに、業務の洗い出しを行う。さらに、その業務ではどのような人材ならば活躍してもらえるのか、それを部門内でしっかりと検討したうえで、採用を担当する私たちに伝えるわけです。私たちは、その報告内容に沿って人材を探します。CSRにかかわるものですから、こうした内容は社長をはじめとする経営陣にもキーマンから報告してもらいます」
「部門の自主性」に“責任”が加わることになったのです。

松岡さんによると「私たちの役割は、いわば“横串”としての機能。各部門が決めたことをしっかり遂行できるように支援する。もしできていない部門があれば、遂行するためにはここを変更したほうが良いのではないかというアドバイスやサポートを行うわけです」とのこと。松岡さんの話はさらに続きます。
「こうした組織的な取り組みの本意は、障がいのある方の自己実現や生きがい、喜びをフジクラでの仕事を通じて実感できる環境を全社で構築していくことにあります。ひいてはそれが、フジクラに将来的な発展・成長をもたらしてくれるものと考えています」

組織的な取り組み以降に採用した障がいのある人材の中から、「海外出張へ行きたい」という意欲にあふれる社員が現れはじめている現況です。松岡さんがいう“環境”がさらに整えば、フジクラで働くことで自己実現に対するモチベーションを上げていく人材は間違いなく増加していくことでしょう。

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