障がい者雇用の取り組み vol.085
2019/03/20

様々な業務に
就くことで
ダイバーシティ
マネジメントを
現場で形にする

プロフィール

株式会社JR東日本ステーションサービス

取締役 総務部長
窪田 雅樹
総務部 人事グループ
荻内 悦子

泊まり勤務もある駅業務だからこそ採用では
コミュニケーションの積み重ねが欠かせない

くぼたさん列車、車窓、駅、ホーム、待合室等々、鉄道は映画、小説、テレビドラマ、ドキュメンタリーの重要な舞台として描かれ続けています。
株式会社JR東日本ステーションサービス(JESS)は、そのような舞台で駅業務を運営する専門会社として2013年4月1日に設立されました。業務の受託先はJR東日本。JR東日本各駅(主に首都圏)の改札、みどりの窓口などで両襟に緑の線が入った制服を着ている係員はJESSの社員です。今回は、そんなJESSの障がい者雇用に関する取り組みをうかがいました。

「当社は設立以降、駅業務、つまりお客さまに関する各種サービスのきめ細かさが評価され、年々受託が増加しています。こうした駅業務の拡大により、現在、駅で働いていただくための人材採用を積極的に行っており、これは障がいのある方についても同様です。その際当社では、障がい者採用にどう取り組んでいくかについて、真正面から受け止め活動しています」
取締役総務部長の窪田雅樹氏はこのように話されます。窪田氏がいう「真正面から受け止め活動している」とは、具体的にはどういうことなのでしょうか。障がい者採用担当である荻内悦子氏のお話を、次に紹介します。

「窪田が申し上げたように、中核は駅業務を担当していただく方の採用です。この駅業務は泊まり勤務がメインになります。この前提がありますから、応募者の方とコミュニケーションを密に取ることが欠かせられない絶対条件なのです。具体的には、面接の回数。内定までに3回から4回行います。面接を重ね内定を出す場合には、どの駅に配属するかのイメージもほぼ固まっているのが通常です。泊まり勤務、緊急時の対応など業務には特殊な面がありますので、入社後に苦労されることがないよう対話を重ねます。さらに、配属先の管理体制も重要です。いざという時にフォローできる人がいるかどうかの確認も行います」

荻内さんは「内定までに時間がかかる」と言いますが、双方がミスマッチを避けるには当然のことであり、窪田さんは「そこは譲れない」と断言されました。JESSには採用までに上記のプロセスを全うすることが、ひいては「長く働いてもらうよき雇用をもたらす」との確信があるのだと感じました。

駅はダイバーシティマネジメントの最前線
様々な業務に携わり多くのお客さまから評価を得る

おぎうちさんここまではJESSの障がい者採用および雇用の「現状」について紹介しました。ここからは「今後」についてです。

「業務の広がりにしたがって社員数も増え、総務や経理などバックヤード部門を充実させる必要性が生まれました。しかし、まだ緒に就いたばかりで整備が十分になされていません。整備には1、2年かかると思います。その時点になれば、事務職として障がいのある方に新たな職域を提供できると考えています」と窪田氏。窪田氏は続けます。

「当社では新規採用で若い社員が増えています。若い人たちは、自身が携わる駅業務について、またその運営について問題意識をもって取り組んでくれています。自分のできる細かなことからサービスの改善など有用なアイデアや提案がなされてくる。こうした若い社員にいくつかの駅を経験してもらい、駅の管理業務に就く。こうした人事システムを考えています。そこには障がいの有無は関係ありません」

「今後」に関して、荻内さんはご自身の“思い”を語ります。
「駅は多くのお客さまにご利用いただく場です。その“場”で障がいのある社員が生き生きと働いている。これはとてもインパクトのある光景で、重要なことではないでしょうか。駅業務というサービスの仕事を通じてお客さまに評価される。当社にはその機会がたくさんあります。ダイバーシティの最前線だからこそ、駅でお客さまに対応する業務に就いていただきたい。私の思いはそこにあります」
「あえて駅係員ということを障がい者雇用の前面に出したい。私も荻内に同感です」(窪田氏)

JR東日本ステーションサービスでは、自社の駅業務とダイバーシティマネジメントを一体のものとして考えています。

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