キヤノンマーケティングジャパン株式会社
総務・人事本部 採用課
課長
釘本 健太郎 氏
オフィスに高い生産性をもたらす複合機やプリンターなどのキヤノン製品を中心としたITソリューションの提供と、カメラをはじめとするイメージング領域など幅広い事業を展開するキヤノンマーケティングジャパン。まさに製品やサービスの提供を通して様々なソリューションを実践しています。
そんなキヤノンマーケティングジャパンの人材に対する基本的な考え方は、創業時から受け継がれてきた行動指針である「三自の精神」と「実力主義」に集約されます。三自の精神とは、自発・自治・自覚であり、何事にも自分から進んで積極的に行い、自分自身を管理する、自分が置かれている立場・状況・役割をよく認識するということです。また実力主義は、学歴・年齢・キャリアに関係なく実力を公平に評価するという企業風土です。
「障がいの有無に関係なく、当社が求める人材も三自の精神を発揮できる資質を備えている方になります。指示を待つのではなく自ら考え、発言し、困難なことに対峙した時にも粘り強く自分の力で突破口を見つけて打開する意欲と行動力のある方を求めています」
そう語るのはキヤノンマーケティングジャパン総務・人事本部採用課の釘本課長です。こうした人材に対する考え方は人事制度にも現れています。一般社員は4段階、管理職が5段階の合計9段階の等級に分類され、それぞれの等級で求められるスキルや役割が明確に定められています。そのため社員にとってはキャリアアップのために何をめざせば良いかがわかりやすくなっています。
「例えば当社では、毎年3月に前年1年間の評価を上司から部下に一人ずつ直接伝えます。評価の根拠や仕事上のアドバイスなどもフィードバックします。このようにオープンでフェアな人事制度によって、社員の仕事に対する意欲の向上を図っています。もちろん、障がいのある社員についてもすべて同じ人事制度で評価します」
こうした社風は、障がい者雇用にも好影響を与えて2016年には実雇用率2.16%を達成。約120名の障がいのある社員が働いています。心臓、腎臓などの内部障がいの方、聴覚、上肢、下肢、体幹などさまざまな障がい内容の方が仕事に従事しています。具体的な配属部署としては総務、人事、法務、ロジスティクスなどの本社系部門から、営業、販売促進、販売推進などの事業部門まで多岐にわたり、それぞれの業務に不可欠な専門知識を身につけて生き生きと働いています。
そんなキヤノンマーケティングジャパンの障がい者に対する基本姿勢は、過度なサポートや配慮はしないという点。とはいっても各人に合わせた適切な配慮や支援ができるように支援体制は万全を期しています。その中核を担うのが、人事、職場の上長、健康支援室が三位一体となった体制。必要に応じてこの3部門が社員の健康状況などを情報共有して、きめ細やかな支援を行っています。
また同社では健康経営を標榜し、社員の身体やメンタルヘルスのケアにも力を注いでいます。2010年より「健康管理3カ年計画」に基づき、きめ細かな健康診断の実施や生活習慣改善の啓発活動、組織的ながん検診受診促進等の取り組みを推進し、着実に成果を上げてきました。その結果、健康経営に戦略的に取り組む優良法人として、2017年に経済産業省より「ホワイト500」という認定を受けました。
さらに3年前に人事部内にダイバーシティ推進の専任組織を新設。社内の多様な人材がそれぞれ備えている潜在能力を最大限に発揮できるような仕組みづくりや意識改革、働き方の改善などに取り組んでいます。そして今後の障がい者雇用について釘本課長は次のように展望を述べます。
「ダイバーシティ推進課が新設されたことで、これまで以上に障がいがある社員の声をヒアリングできるようになりました。同じ人事部門の組織として、私たち採用課と一体となって活動することにより、障がいのある方々が活躍できる職域を広げ、より一層障がいの有無にかかわらず、社員がイキイキと働ける環境を実現していきたいと考えています」