障がい者雇用の取り組み vol.081
2018/11/13

ミスマッチの払拭
定着支援の施策
それに応え続ける
本人たちの努力が
活躍の場を拡大

プロフィール

株式会社アプラス

総合管理部 シニアマネジャー
平井 一正

採用は、3回の面談を経て双方納得の上で決定
このプロセスによりミスマッチを徹底的に払拭する

ひらいさん株式会社アプラスは、新生銀行グループの一員として幅広い分野で付加価値の高い金融サービスを展開しています。
今回、総合管理部のシニアマネジャー 平井一正氏に話をうかがいました。その中で印象深かったのは、障がい者採用に対する方針の明確さです。具体的には、「採用に当たってミスマッチを徹底的に払拭する」ことと、「入社後の定着に関するきめ細かい施策」の2点に集約されます。

「当社では、採用に至るまで面談を3回重ねます。最初の面談は人事の担当者。東京、大阪、岡山の3拠点に人事担当者が配置されていますので、応募された方の地域により当該拠点それぞれが対応します。その際、アプラスの業務は多岐にわたっていることから、配属先の選択は、応募者の障がい内容や希望により多角的に行うことが可能です」
と平井氏は話します。

第二段階は、想定した配属先の上長との面談です。
「ご本人の希望、障がいの内容、できることできないことの確認。それらの情報と業務内容を照らし合わせてマッチングを図ります。そして、相当程度にご本人と配属予定を詰め、最終的な配属先の確認を上長との面談で行うわけです」

この最終確認は、面談だけにとどまりません。
「たとえば精神障がいの方の場合なら、配属になった際に着くであろう席に実際に座ってもらい、人の行き来などによるザワツキがその方の業務に影響を与えないかどうかも確かめ、支障があれば上長と相談の上で可能な限り環境を整えます」

このようなプロセスを経て、最後に実施されるのが、人事担当役員との面談です。この面談により採用が決定します。
「採用の人数だけを考えるのなら、面談の回数を減らし早く内定を出した方が良いのかもしれません。しかし、配属先のミスマッチ、ひいては当社とのミスマッチを払拭することが、長く活躍してもらえる人材の獲得に通じると考えており、それは当社におけるご本人の働きがい、業務のやりがいにもつながります。そのため、あえて双方がとことん納得できるようなプロセスを踏んで採用活動を進めているのです」

コミュニケーションを核とした多様な施策で定着を支援
その上で本人たちの努力とがんばりが職場理解の原動力

採用活動段階でのミスマッチの払拭が、長期雇用の実現につながることはいうまでもありません。しかしアプラスは、ミスマッチの払拭だけで長期雇用が実現されるわけではないと考えています。重要なのは、長期雇用に関する入社後の施策です。その点について平井氏は次のように話します。

「現在(2018年10月末)、障がいのある社員数は22名。うち6名が勤続20年以上で、32年、35年という長期在職の社員もいます。中には、部署のチームリーダーとして采配を振るっている社員もいるのが現状です。施策については、まず、障がいの有無にかかわりなくすべての社員に実施される制度を挙げてみましょう。期初の目標設定面談、中間のフィードバック面談、期末の評価面談等々。さらに、年に一度の自己申告制度。自己申告は、たとえば『担当業務の責任の拡大』とか『担当業務の変更』など、スキルアップのために自分の意志を会社に伝える制度です。また、こうした“制度”のほかに、直属上司や部店長との面談、人事担当者の臨店による面談も頻繁に行われています。加えて、障がいのある社員に関しては、個々人の状況に応じて上長、部店長、人事担当者による面談の数を増やして対応。新入社員の場合は、業務にまつわるサポートも欠かしていません」

平井氏の話でわかるのは、アプラスの施策が「コミュニケーション重視」で構成され、それが着実に進められていることです。
「東京、大阪、岡山の人事のメンバーは毎週ミーティングを行っており、さまざまな施策を浸透させています。個別の社員情報についても共有しているので、何かの際にはスピードをもって対応することが可能な状態です。障がいのある社員に関しては私がリーダーなので、すべての情報が私のところに集約されます。それをもとに東京のメンバーと定着を促進する施策の進め方などを相談し、実行していくわけです」

こうした人事担当者の活動をバックアップしているのが、現場の責任者と一緒に働く同僚たちです。
「先に配属予定部署の面談でもお話をしたように、そこで双方の理解を徹底させていることもあり、障がいのある方の受け入れにはどの現場もきわめて協力的です。人事担当者としてはありがたいことですが、このような協力的な環境が生まれる根底にあるのは、入った方ががんばっているという事実だと思います。ご本人とのコミュニケーションを重ね、ミスマッチのない配属を行ってはいますが、そこで力を発揮してくれているからこそ良き環境が醸成され活躍の場がいっそう広がっている。当社の障がいのある方の定着(活躍)は、ご本人たちの努力の賜物です。このことを忘れることなく、私たちは採用と定着に尽力し続ける。常にこうありたいと考えています」

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