株式会社神戸製鋼所
人事労政部
企画グループ長
今田堅太郎 氏
ダイバーシティ推進室長 兼 人事グループ担当課長
佐野紀子 氏
「誠実」「協同」「変革」の3つのキーワードを求める人材像として掲げてきた株式会社神戸製鋼所。2014年にはダイバーシティ推進室を新設し、女性社員の活躍促進に加え、外国籍社員や障がいのある社員を含めた多様な価値観・背景を持つ社員の活躍支援を強化しています。
現在、障がいのある社員約200名が活躍する同社では、障がい者雇用に積極的に取り組んでいます。
「障がいの有無にかかわらず、意欲があり理念を共有できる方と働きたいというのが、社員一同の気持ちです」と語るのは、人事労政部・企画グループ長の今田堅太郎氏。障がい者雇用を特別なこととして捉えるのではなく、本人の個性やスキルを重んじて採用し、配属先を決めているということです。
「私たちが求めるのは、誠意を持って行動できる人材、共に切磋琢磨できる人材、常に変革をめざして挑戦できる人材です。会社には、社員一人ひとりを大切にするという伝統的な社風が土壌としてあり、すべての社員が大切な同志だと考えています。もちろん必要な配慮は十分にしますし、主要な拠点では環境がほぼ整っているため、特に部署や業務内容を特定することなく、分け隔てのない配属が可能です。現在も、それぞれの個性にあった場所で、十分に能力を発揮していただいていると思います」
一方、人事労政部・ダイバーシティ推進室長として、社員の多様な働き方に対する理解を促しているという佐野紀子氏。今後さらに、社員間のコミュニケーションを円滑にしていきたいと語ります。
「もともと会社全体として、多様性に対する理解度は高いのではないかと考えています。『自分の意見が言いやすく、それをきちんと受け止めてもらえるという雰囲気がある』。『やりがいのある仕事を任せてもらえる』。これは、当社の社員からよく聞く言葉です。風通しの良い人間関係の中で、意欲や責任感を持って仕事ができる。一人ひとりが満足度の高い働き方ができるからこそ、多様な働き方・生き方を受け容れることができるのではないでしょうか。
このような環境の中で、障がいのある社員は、持てる力を最大に発揮し、それぞれの業務にまい進されています。さらに、その姿を見て、まわりの社員のモチベーションがさらに向上するということもあるようです」
最後に、障がい者雇用への今後の課題を訊ねたところ、「働きやすく、実力を発揮できる職場であることを、障がいのある方々にもっとアピールすることでしょうか」という答えが返ってきました。
「福利厚生が充実していることも利点の一つです。例えば各事業所には診療所と専門カウンセラーを配置した相談室を設置しており、障がいのある方にも心強い環境なのではないかと思います。また、最近新築した独身寮は、各所にユニバーサルデザインが適用され、車いすの方用の居室も用意しています。その他、駐車場の障がい者スペースに屋根を設けるなど、入社される方の障がいに合わせて、ハード面からも細やかに対応しています」(今田氏)
「どのような業務に就いたとしても、入社時に全てを完璧にこなせる人などいません。職場の中で上司や同僚とコミュニケーションを取りつつ、補い合い、磨き合って、日々気持ちよく仕事ができる環境作りが大切です。この会社の働きやすさ、安心して働く事ができる環境のよさを入社してから実感される方も多いので、これから働こうとされるみなさんに、それをアピールすることも今後の課題かもしれませんね」(佐野氏)
インタビューの中で、「特別なことはしていません」と、繰り返し語られる今田氏と佐野氏の言葉の裏には、一人ひとりを活かすという、企業理念に根ざした社風がうかがえます。一人ひとりがやりがいを持って気持ちよく働く中に、障がいのある人、ない人が共存している。双方にとって幸せな環境が整っている。理想的な職場の姿に、“特別なこと”は必要ないのかもしれません。