障がい者雇用の取り組み vol.044
2015/05/26

障がい者雇用の
先駆者として
ダイバーシティ推進の
あり方に新たな
挑戦をつづける

プロフィール

オムロン株式会社

グローバル人財総務本部
業務部長 ダイバーシティ推進グループ長
浜田 仁
オムロン障がい者雇用支援センタ
小中健太郎

「企業は社会の公器である」という企業理念をベースに
社会貢献からダイバーシティ推進へ

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1933年創業のオムロン株式会社は、「企業は社会の公器である」という企業理念を基本に、社会貢献の一つとして、障がい者雇用に早い段階から取り組んできました。

「創業者・立石一真氏の“企業は社会のためになってこそ価値がある”という考えの下、オムロングループでは1970年代、80年代に、相次いで特例子会社を設立しました。当時、障がい者雇用の先がけ企業であったと思います。その考えが今でも根強くあり、本社・関連会社でも早くから障がい者雇用に力を入れていました」と語るのは、ダイバーシティ推進グループ長・浜田仁(めぐみ)氏。当時、社会貢献として始まった障がい者雇用は、現在、女性や外国人などの雇用を含む“ダイバーシティ推進”という考え方に変わってきたそうです。

「市場はますますグローバル化し、オムロングループ全体でも海外拠点の数が増えている状況です。そんな中で、女性や外国人、障がい者など多様な特性のある人たちが共に働くことは、多様化する顧客の価値観や要望に応えるためにとても大切なことです。様々な状況下にいる人たちが、最大限にポテンシャルを発揮し、自身の成長を実感できる職場であることこそ、めまぐるしく変わる現在の市場に対応できるのだと考えています」

「障がい者雇用支援センタ」の設立と
ガイドラインの制定によるコミュニケーションの円滑化

オムロングループの障がい者雇用は、まず採用計画を立案し、全国の大学や「障がい者就業・生活支援センター」、「就労移行支援施設」など地元ネットワークとの連携、グループ会社共催の企業説明会などで取り組んでいます。また、職場とのマッチングや定期的な面談など、定着のための対応にも力を入れています。

それらを一括でマネージメントするために、2014年「オムロン障がい者雇用支援センタ」が設立されました。「まず、障がい者雇用の状況把握からはじめました」と語るのは、同センタの小中健太郎氏。各現場での雇用状況と、そこでの課題などを細かく把握し、対策をとることを目的としています。

「本社の各部署と関連会社の各事業所でヒアリングをし、現場の意見をすくいあげることで、様々な課題が浮かび上がってきました。具体的には、社員からの『障がいの種別による配慮のしかたを知りたい』、『コミュニケーションのとり方を教えて欲しい』などの意見や、障がいがある社員からの『遠慮せずに尋ねてほしい』という意見などです。そのような意見をもとに“障がい者雇用ガイドライン”を作成しました。障がい者雇用について、オムロングループの基本的な考え方や目的をベースに、主な障がい種別の特性と配慮のしかたなど、現場での具体的な対応まできめ細かく網羅し、全社員に向けて発信しました」という小中氏。

ガイドラインができてから、各事業所や部署から「対応が分かりやすくなった」、当事者からも「自分の特性を説明しやすくなった」などの意見が多数あったそうです。双方のコミュニケーションが円滑になるということは、職場のチームワークもよくなり、業務にも専念できるということ。「これからも多様性を受け入れるための工夫を続けていきたい」と続けます。

様々な特性を持つ人が共にいきいきと働くための
ダイバーシティ・マネージメント

「障がいがある人、ない人が、一緒に働くのがあたりまえ。そんな環境をこれからも作っていきたい」と語る二人。障がいを個性の一つとして認め、さらに個性を活かすことができる会社にしていきたいとの思いは同じです。

「その職場のマネージャーが、いかに一人ひとりと向き合ってその人の良さを引き出せるか。それは障がいがある、ないに関わらず大切なことです。様々なバックグラウンドや特性のある人がチームワークを発揮して、いきいきと働ける職場にする“ダイバーシティ・マネージメント”という考え方が今後ますます大切になってくると思います。理念である“企業の公器性”という意味でも、いろいろな障がいに対応し、共に働く喜びを分かち合うことができる会社でありたいと考えています」と語る浜田氏。

「障がいがあっても、一企業人として活躍できているという実感を持ってもらいたい。そのための環境作りやマッチングなど、新しいチャレンジを続けていきたいと思います」と語る小中氏。オムロングループ内のサイトには、社外で活躍したり表彰されたりした社員を紹介するサイトがあり、障がいのある社員の活躍も多数掲載されているそうです。このようなアピールは、先輩のロールモデルとして、これからがんばろうとする後輩への動機づけになるといいます。

障がい者雇用の先がけとなったオムロン株式会社は、今後もダイバーシティ推進の先駆者として、新しい挑戦を続けていくことでしょう。

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