特集 インタビュー vol.05
2017/09/23

中小企業における
障がい者雇用
拡大をめざして
多彩なイベントを
開催

中小企業のための障害者雇用支援フェア

東京都産業労働局 雇用就業部
就業推進課長
朝比奈 祥子

中小企業における障がい者雇用促進の
ポイントやノウハウが紹介された基調講演

会場の様子2017年7月28日(金)、東京・新宿の新宿NSビル NSイベントホールで東京都産業労働局が主催する「中小企業のための障害者雇用支援フェア」が開催されました。今回で3回目を迎えた同フェアは、中小企業が障がい者雇用に関する理解を深め、雇用を促進していくことを目的に行われています。当日は障がい者雇用に関連する支援機関の関係者が一堂に集まり、講演や事例の発表をはじめ、各種相談も受けられる場として、多くの参加者が来場しました。

基調講演まずは第一部として文京学院大学の松為信雄客員教授による「中小企業における障害者雇用の進め方」というテーマでの基調講演が行われました。雇用の現状から「障害者雇用促進法」改正のポイント、中小企業で雇用を促進するためのあり方を詳細に説明。障がい者を雇用した経験がない企業は、たしかに雇用に対する不安はあるものの経営者の前向きな姿勢で課題は乗り越えられると指摘し、その時に大切になるのが社外ネットワークの構築であるとアドバイスを送ります。各種支援機関とネットワークをつくり、それを活用することが障がい者雇用にノウハウがない中小企業にとっては効果的な方法であると説明しました。

約1時間にわたって講演は続きましたが、会場に訪れた中小企業の経営者や人事担当者などが熱心に聞き入る姿が印象的でした。

支援機関のセミナーや障がい者による実演
先進的な企業の事例紹介など多彩なイベントを開催

ミニセミナー第一部の基調講演終了後、大ホールでは約30分のミニセミナーが複数開催されました。「国立職業リハビリテーションセンター」「障害者就業・生活支援センター」など支援機関ごとにセミナーを行い、各支援機関の制度や利用方法などを紹介します。各会場には基調講演で触れられた支援機関の活動に興味をもった参加者が数多く参加していました。

実演同時に中ホールでは、都内の特別支援学校の生徒による各職業の実演を開催。ベッドメイクと介護補助、ビルクリーニング、ロジスティクス(物流作業)、事務、カフェサービスなどの業務を披露しました。各業務を的確かつ迅速にこなす生徒のスキルの高さに参加者は一様に驚いていました。

さらに15の支援機関のブースでは個別相談を受け付け、雇用に関する相談に訪れる参加者の姿も見受けられました。

パネルディスカッションそして、午後の第二部はパネルディスカッション「~よくわかる障害者雇用のキーポイント~『中小企業における障害者雇用の取組』」が開催されました。これは実際に障がい者雇用で成果を上げている企業の事例を知ることで、中小企業の方が、より実践的に雇用を考えるきっかけにしてもらうことを目的にしています。

コーディネーターは第一部で基調講演をされた松為信雄氏が担当し、障がい者雇用で実績を上げている都内のIT企業と人材サービス企業の2社がパネリストとして登場。まずは各社の会社概要と障がい者雇用の歴史を説明しながら、雇用を推進するに当たって取り組んだことを紹介します。そして、今後の課題や雇用から学んだことなどを発表しました。2社の取り組みが紹介された後は、会場からの質問を受けつける質疑応答が行われ、障がい者雇用を推進するためのポイントを共有していました。

こうして中小企業の障がい者雇用を推進する様々なイベントが行われた「中小企業のための障害者雇用支援フェア」は盛況のうちに幕を閉じました。

中小企業における障がい者雇用のあり方が
イメージできる場を提供

あさひなさん最後に、同フェアを主催する東京都産業労働局 雇用就業部 就業推進課長の朝比奈祥子さんに、開催の目的などについてお話をうかがいました。

「障がい者を雇用したいけど、どうすれば良いかわからないという悩みをお持ちの中小企業は多くいます。また、雇用を促進する支援機関もそれぞれが独自に活動しているために、全容がなかなか把握できない方もいらっしゃいます。そこで支援機関を一堂に会して、中小企業における障がい者雇用の全体像を理解していいただく場が必要ではないかという認識からスタートしました。

おかげさまで各支援機関のご協力を仰ぐことができ、中小企業における障がい者雇用の現状や課題、そして課題解決を図るために基調講演をはじめ、企業事例、さらには各支援機関の取り組みを紹介し、実際に相談できるブースも設けました。また、都内の特別支援学校にも協力を仰ぎ、生徒さんが実演することで中小企業の皆さんに、実際に障がい者が働くイメージを持っていただけたと感じています。つまり『中小企業のための障害者雇用支援フェア』に参加することで、雇用するイメージを持っていただき、一歩踏み出していただくきっかけにしたいという想いから趣旨の異なる複数のメニューを用意しました。

支援機器今回で3回目を迎えましたが、前々回や前回のフェアに参加したことがきっかけとなって新たに障がい者を雇用したという中小企業もかなりの数に上っています。また、今年は昨年よりも多くの来場者に来ていただくなど、中小企業における障がい者雇用に対する関心の高さをうかがい知ることができました。そんな企業のニーズに応えるためにも、雇用を支援する機器の展示など、常に新しい試みを行いながら、より充実したフェアにしていきたいと考えています」

この記事の関連リンク

この記事をシェアすることができます。

トップに戻る

特集 インタビュー BackNumber