特集 障がい者が活躍する職場レポート vol.02
2012/11/21

一つひとつ着実に
業務と担当内容の
拡大を果たし続ける

プロフィール

第一生命チャレンジド株式会社

代表取締役社長
湯浅 善樹
常務取締役
小田垣 隆

「さらなる障がい者雇用の拡大」が設立目的

第一生命チャレンジド株式会社が第一生命保険相互会社(現・第一生命保険株式会社)のグループ会社として設立されたのは、2006年8月1日。同年11月1日、特例子会社の認定を受けました。

「第一生命では長年、身体の方を中心に障がい者雇用を行ってきました。この雇用の範囲を広げるため、知的や精神の方をもっと受け入れていこうという方針に沿って、特例子会社設立が決定されました」

こう語るのは、第一生命チャレンジド(以下、チャレンジド)代表取締役社長・湯浅善樹さんです。
設立時、同社は社員数10名(身体1名、知的6名、障がいのない社員3名)でスタートしました。そして2012年4月1日現在、社員数は143名にまで増加しています。内訳は、身体4名、知的72名、精神19名、障がいのない社員48名。こうした数字に、チャレンジドが設立目的に合致する形で雇用拡大を進めている事実が示されています。

チャレンジドは自社の事業について、「主として第一生命保険株式会社より委託された業務を営む」としています。ラインナップは、印刷、書類の作成・発送、清掃、総務・経理、ランドリー、喫茶・給茶の6業務です。ただし、最初から順調に運んだわけではありません。
「設立にあたって、本社の各所管に対し、チャレンジドの目的・内容を伝え、出せる仕事の検討を依頼しました。いくつか挙がってきた中から、最初に行ったのが清掃業務です。まず第一生命所有の、グラウンドの清掃。東京ドームの1.8倍強ほどの広大なグラウンドを真面目に丁寧に清掃したことで信用を得、社員寮の清掃、営業オフィスの清掃というように業務拡大を果たしました」
現在の業務は、すべて「本社から信用を得る」ことで、獲得し拡大させていったものばかりです。つまり「ここまでしかできないだろう」という壁を、「いや、もっとこのレベルまでできる」という実績の積み重ねで乗り越えてきたわけです。

「チャレンジド」の社名に相応しい活動を続けていく

チャレンジドでは、「仕事のプロとしてのプライドをもつ」「いきいきと働ける職場をつくる」「高いレベルのサービスを提供する」を企業目標に掲げています。

「仕事のプロとしてのプライドを持つ」業務として紹介したいのが「書類発送業務」です。第一生命では、定期的にお客さまに保険の内容を記した書類を発送しています。2006年10月、その業務を手がけることになったのです。

「書類発送は、個人情報にかかわる業務です。そのため、事故を起こさないよう何重にもチェック体制をつくった上でスタートさせました。最初、任された範囲は狭いものでしたが、何年もかけて実績をつくり、『ここも任せて欲しい』という形で担当業務の拡大に至りました」(湯浅さん)。
第一生命のコールセンターには、発送書類や保険の内容などに関しお客さまからさまざまな問い合わせが寄せられます。」オペレーターが受け取った情報は、システムを通じてチャレンジドに渡されます。チャレンジドのスタッフは、お問合せ内容ごとに必要な書類を印刷・点検・封入します。

「個人情報にかかわる責任があるだけでなく、オペレーターが入力した文章から情報を読みとるというかなり高度な業務です。そのため最初、グループリーダーと担当社員各2名をコールセンターのフロアに派遣し、トレーニングを積んだのち、できるところから任せてもらうようにしました」と湯浅さん。これも書類発送から拡大した業務です。

「高いレベルのサービスを提供する」という点では、もっとも新しいカフェ・給茶業務を例にしましょう。お話しいただくのは、常務取締役の小田垣隆さん。
「この業務は、日比谷本社の社員向け喫茶室から始まり、その後、豊洲本社でカフェ・給茶業務と拡大しました。当時、お客様に直接お茶をお出しする給茶業務を知的障がいのある社員が行っている例は、他の特例子会社でもあまりありませんでしたが、現在まで順調に業務を行っています。そして今年の11月、日比谷本社1階の喫茶フロアを任されるまでに成長したのです。本格的なエスプレッソマシンを置き、美味しいコーヒーをお客さまに提供。高いレベルのサービスを通じてお客さまに喜んでいただく。それが大きなやりがいにつながっています。

『チャレンジド』とは、障がい者について「神から『挑戦』という使命や課題、チャンスを与えられた人たち」を意味する言葉です。チャレンジドを社名とする同社は、今後も不断に業務拡大を図ることで、その名に相応しい未来を拓いていきます」

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