特集 障がい者が活躍する職場レポート vol.06
2013/08/12

ベネッセグループの
理念「よく生きる」を
特例子会社として
独自の施策で展開

プロフィール

株式会社ベネッセビジネスメイト

代表取締役社長
櫻田 満志

「よく生きる」を実現するため
自立して生きることのできる社員を多く生み出していく

株式会社ベネッセビジネスメイト(以下、BBM)は、ベネッセグループの特例子会社として2005年2月に設立されました。

ベネッセグループの理念は「よく生きる(=Benesse)」。BBMでは自社の企業理念に「(障がいがあっても)自らのベネッセ(よく生きる)を体感しながら自立して生きられる社員を増やす」という一項を設けています。また、掲げるビジョンは「障がい者雇用の特例子会社としての役割を果たしながら、その事業領域において市場競争力をもつ自立した会社となり、ベネッセグループにとってなくてはならない存在となることをめざす」です。今回お話をうかがったのは、BBMの櫻田満志代表取締役社長。その内容のほとんどは、前記の企業理念とビジョンの具現化にかかわるものでした。キーワードは、人(障がいのある社員)と会社の「自立」です。

「自立できる社員をつくるとは、言葉を換えるなら、彼らを戦力となる人材に育てていくことを意味しています。

私たちはこれまでの経験を通じて、必要な配慮と環境が整えば彼らが十分に能力を発揮することができることを理解しています。では、その能力をどうやって引き出し、さらに向上させていけばよいのか。当社では、能力の引き出しと向上を円滑に進めるために様々な施策を行っています。その一つとして“指導員の育成”があります」

導入初期の指導員は「業務のプロ」が中心でした。
「たとえば、ビルの清掃や廃棄物の分別などを業務とする<クリーンサービス事業>では、その分野の業務に経験豊富な方に指導員をお願いしました。また、ベネッセコーポレーションの企業内コピーセンターの運営を行う<OAセンター事業>の場合は、PCによるデータからの大量出力やオンデマンド印刷などの事業拡大を考え、印刷会社に勤務していた方をリーダーとして招きました。そうした業務のプロの方に障がい者雇用のノウハウを身につけていただきました

2013年4月1日現在、BBMの社員数は187名。うち障がい者は122名。指導員は25名。5人に1人の割合で指導員が付いていることになります。

最近は事業領域拡大に伴って障がいのある社員が増え、その障がいも多様化してきているので、福祉関係の業務経験がある方も採用しています」

指導員は、業務の内容や作業の手順を教えるだけにとどまらず、障がいのある社員をケアしながら業務の効率化、品質の維持向上を進めてきました。また一人ひとりの特性に合わせた育成計画に沿った指導を行うことで、障がいのある社員の業務能力も大きく向上し、その中からチームリーダーを担える人材も育ってきました。

「当社では彼らを“キャプテン”と呼んでいるのですが、新人が入社してきたら業務指導を行うなどOJTの面で必要な役割を担ってもらっています。今後は、もう少し広いマネージメントも任せることのできる指導員に成長してくれることを期待しています」

"定着"に関する重層的な施策により
障がいのある社員の仕事に対するモチベーションが大きく向上

「自分が担当する業務にやりがいと責任感をもって取り組めるようになれば、そのことが"定着"に結びつき、ひいてはビジョンに示された『会社の自立』、そして『ベネッセグループにとってなくてはならない存在』へとつながります」

BBMの定着に関する施策は、重層化されています。

「まず、さまざまな集合研修による育成制度。代表的なものとしては『事例をもとに、お客様・上司・同僚とのコミュニケーションや対処の仕方について、ロールプレイを取り入れて練習する』<コミュニケーション研修>、『障がいのある講師をお招きして実際の経験などを語っていただき、"気づき"や"やる気"の活性化を図る』<気づき研修>があります。

次に、相談がしやすい体制作り。各部署に“相談体制図”を掲示し、誰にどんな相談をすればよいのか簡単にわかるようにしています。加えて口頭で相談しにくい場合に備えて「相談箱」も設置しています。

もう1点、重要な施策があります。それは、2010年に定められた『クレド』です。『クレド』とは"志""信条""約束"を意味するラテン語。「当社のクレドでは、BBMの企業理念を実現するため『お客様』『社員』『パートナー(取引先、家族、支援機関、地域・社会)』への3つの“約束”を定めており、全社員がその内容を記したクレドカードを携帯しています」と櫻田さんは話します。
たとえば「お客様への約束」では、「私はいつもお客様の顔を思い浮かべ、『ありがとう』と言われる仕事をします」を掲げ、それを実現するための5つの行動指針を列挙しています。

「クレドの文言は、社員のプロジェクトによって作られました。それだけに浸透は早く、全員の行動の基準として定着しています」

お客様から「ありがとう」といわれた時の“ありがとうカード”の発行やクレドに沿った行動をした人の表彰、クレドの手話化プロジェクトなどを実施。「これらの活動は、社員のモチベーション向上に大きくつながっています」とのことでした。

「当社の組織として特徴的なものとして人事・定着推進課があります。会社設立当初から障がい者の定着を重視しており、2009年には定着推進課を設け定着の機能を独立させました。さらに2013年、人事課と統合し『人事・定着推進課』に改組。これで人事課の採用・研修と定着推進課の役割がリンクされ、採用・就労・定着に関し連続性をもって対応できるようになりました。

そして、もう1つ特徴的な組織は『グループ雇用推進室』です。グループ企業の障がい者採用と定着の支援を行う事務局、サポート機能を持つ組織として活動しています」

特例子会社が、蓄積された自身の経験と実績をもとに、グループ全体の障がい者雇用(採用・定着)をサポートしていく。これは特例子会社の将来像として、有力な指針になるはずです。

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