特集 障がい者が活躍する職場レポート vol.07
2014/01/24

「共感して創る」
「協力して創る」
この「共創」「協創」
により
ゴールが一つになる

プロフィール

株式会社舞浜コーポレーション

代表取締役社長
多田 健二

オリエンタルランドグループの共通理念にある
「夢・感動・喜び・やすらぎの提供」の実現に取り組む

特例子会社の多くは、親会社およびグループ企業から受託した業務を事業の核としています。舞浜コーポレーションも、それについては他の特例子会社と違いはありません。ただ、大きく異なるのは、親会社が、入園者数・売上高とも最大のテーマパークを経営・運営するオリエンタルランドであるという点です。

「オリエンタルランドグループの共通理念に『夢・感動・喜び・やすらぎの提供』とあります。この理念の実現に取り組む。それが当社と従業員すべての目的です」

こう話されるのは、舞浜コーポレーションの多田健二社長です。多田さんがいわれる“目的”は、仕事を通じどのような形で具現化されているのでしょうか。

「一つの具体的な例として、フラワーセンター事業があります。ここでは、テーマパークやリゾート内を彩る花卉の栽培に、多くの知的障がいのメンバーが従事しています。来園されたゲスト(お客様)の方々が、さまざまに飾られ、またキャラクターの姿に形づくられた花をご覧になることで、やすらぎや感動を覚えてくださっています」

多田さんのお話は、さらに続きます。

「フラワーセンターのある袖ヶ浦とテーマパークは50km以上離れていますが、年に何度かテーマパークまで来てもらっています。そこで自分たちのつくった花がどのように飾られているのかを知り、さらにゲストの皆さんが花に彩られたキャラクターなどをみて楽しんでくださっている姿に接します。テーマパークでは、自分たちが担当をしていない花も飾られているのですが、それを見たメンバーの中から『今度はあの花をつくってみたい』という要望も出ています。花の栽培には難しいところがあり、すぐに要望をかなえることはできませんが、そのような気持ちで仕事に取り組んでもらえるということは、本人の成長を示すものだと思います」

できる人にはより高いレベルの仕事に挑戦してもらう。また、障がいの影響などである業務には適性がなくとも、その人にマッチした仕事を提供する。「できる、できないも各々の個性の一つ」とするのが、同社の基本方針です。

「従業員一人ひとりが個性にふさわしい仕事をしてもらうことで、本人の市場価値を高めていく。このことは、企業である舞浜コーポレーションに収入面で貢献することにつながります。そして、本人たちに誇りが芽生え、どこでも誰にでも胸を張ってそのことをアピールできる。私たちは、そこをめざして事業を行っています」

採用、職域拡大、業務のレベルアップなど課題はあるが
だからこそ「できることもまだまだたくさんある」と考える

「オリエンタルランドグループの共通理念実現に取り組む」という“目的”との関連で、多田さんは「共創」「協創」の考え方に言及されました。

「共創・協創には『共感して創る』と『協力して創る』という二つの意味が込められています。

“共感”とは、お話をした『夢・感動・喜び・やすらぎの提供』という理念への共感です。『協力して創る』とは、自分一人のゴールではなく、常に共通のゴールを意識して、全員がそれへ向かって協力していく、バトンをタッチしていくということです」

多田さんは、この特例子会社に在籍してから2カ月ほどで、「共創」「協創」の考え方が浮かんだといいます。それは、多田さんがオリエンタルランドで担当していた仕事と舞浜コーポレーションの仕事の意味するところが酷似していたからです。

「役割の異なる多くの人たちが、ゲストに喜んでもらえる企画を決められた日までに完成させて提供する。私はその仕事を担当する責務でした。従業員は、個性や感性という、多種多様な価値観の集まりといってよいでしょう。それをまとめ全員を共通のゴールへ向かわせるには、『共創』『協創』の考え方、つまりゴールがどこなのかをしっかり認識してもらうことが不可欠だったのです。規模も仕事の内容もまったく違いますが、個性という多種多様な価値観の人たちが集って『創る』という点で、当社の場合も本質は同じだと思いました。私がしばしば皆さんに『共創』『協創』というのは、お話した前任からの気づきです」

舞浜コーポレーションの「ノーマライゼーション推進グループ」は、人事部や社長直属ではなく、フラワーセンターなど、障がいのある従業員が携わる業務グループを統括する業務サービス部に置かれています。

「当社では、ロケーション(業務単位)ごとに、スーパーバイザーという現場管理者を配置しています。スーパーバイザーの役割は、業務を完遂させるのは当然ですが、単なる現場管理にとどまらず、障がいのある従業員に何を実現させてあげたか、何を実現させてあげられるかなど、彼らの価値を高めることに力を尽くす役割も重要です。また、障がいに関するフォローも必要になります。こうした各ロケーションを貫く横串の機能を果たすのが、ノーマライゼーション推進グループのスタッフです。ロケーションを回って障がいの有る無しに関わらず従業員とコミュニケーションをはかり、情報交換をしっかり行います。これにより、スーパーバイザーの負担は軽減されています。また、採用にも入社後の育成にもかかわっていきます。こうした役割を果たすには、やはり現場である業務サービス部に置く必要がありました。さらにここに人事も加わり、スーパーバイザー、ノーマライゼーション推進グループのスタッフが一体となり、小さな問題が大きくならないうちに対応していくわけです。これも共創・協創にほかなりません」

採用、職域拡大、業務内容のレベルアップなど、多くの面で「まだまだ課題はある」とする多田さん。しかしその直後に返ってきたのは、「だからこそ、まだまだできることがたくさんある」という言葉だったのです。

この記事の関連リンク

この記事をシェアすることができます。

トップに戻る

特集 障がい者が活躍する職場レポート BackNumber