特集 障がい者が活躍する職場レポート vol.13
2017/05/17

保険業界最初の
特例子会社として
働きやすさ
“日本一”をめざす

プロフィール

株式会社ニッセイ・ニュークリエーション

【写真左】 代表取締役会長
柳原 誠
【同右】 代表取締役社長
杉山良樹

自分ができることで、お互いを支え合う職場風土

ニッセイ・ニュークリエーション株式会社ニッセイ・ニュークリエーション(以下NNC)は、日本生命が1993年(平成5年)に設立した、保険業界で初めての特例子会社です。設立以来、社員数を伸ばし続け、2017年4月現在、226名の障がいのある方が、大阪市西淀川区の本社と兵庫県尼崎市の事業所で働いています。

「当社には、設立以来の原点である『お互いの障がいを理解し支え合う』という言葉があります。これは、お互いの障がいを理解し合い、自分が持っている部分で他の人の足りない部分を補い合いながら働こうという、私たちの職場風土を象徴する言葉です。その言葉を大切に、現在NNCでは肢体不自由をはじめ、聴覚障がい、視覚障がい、内部障がい、知的障がい、精神障がいなど、さまざまな障がいのある社員が、保険関係の事務処理や印刷・製本などの業務に取り組んでいます」と語るのは、代表取締役会長・柳原誠さん。社員一人ひとりが、生きがいを感じながら働くことができるような職場環境づくりに努めていると言います。

ジョブコーチ「当社は重度障がい者を雇用する目的で設立されたこともあり、車通勤者の屋根付き駐車場や車いす使用者対応トイレ、大型エレベーターなど、社内設備のバリアフリーが徹底されています。また、このようなハード面だけでなく、ソフト面のバリアフリー化も進めています。その一つが“お互いの障がいを理解し支え合うネットワーク”です。これは社員自らが“職場適応援助者(写真左)”“障害者職業生活相談員”の資格を取得し、社内の産業医や臨床心理士、同僚や上司、また社外の支援機関や主治医、家族などとネットワークを作り、障がいのある社員をサポートする仕組みです」と語るのは、代表取締役社長・杉山良樹さん。

「さらに精神障がい、発達障がいのある社員には、一人ひとりの事例をまとめた『ヒューマンケア集』を作成し、社内で共有することで、コミュニケーションを取りやすくする工夫をしています。
このようなきめ細やかな配慮によって、たとえば、発達障がいのために前職で困難のあった方が、NNCに実習に来た際に環境の良さや仲間のあたたかさに刺激を受け、入社されたという例もあります。現在その社員は、仕事は勿論、自分のこれまでの体験を社外の講演等の場で語ることで、障がい者雇用への理解を広める活動もしています」と、杉山さん。

障がい者の社会参画のさらなる広がりをめざして

としょいいんかいNNCの大きな特徴の一つに、社員で組織される「委員会活動」が挙げられます。現在、社会貢献委員会、人材育成委員会、健康促進委員会、手話委員会、図書委員会(写真右)などの15の委員会が、組織横断的に編成され、すべての社員がいずれかの委員会で活動しています。

「委員会活動によって、社内に部署などを越えた『タテ・ヨコ』の人間関係ができ、コミュニケーションが生まれます。委員会活動は第二の業務という位置づけなので勤務時間内に行われ、社員全員が無理なく参加しています」と、杉山さん。“安全で快適な職場環境の維持”、“社員のさまざまな能力向上”、“風通しのよい職場風土”をめざした委員会の活動は、週に一度、社員の自主的な運営で行われています。

こべつしどうのようす「もう一つの特徴に『人材育成制度』があります。これは研修制度や個別スキル開発、自己啓発支援などの制度を、社員が中心になって運営しているものです(写真左)。NNCでは現在36名の障がいのある社員が役職についていますが、今後もリーダーシップを取れる人材の育成をめざし、制度をさらに充実させていきたいと考えています」と、柳原さん。

さらに今後の展望について、このように語ります。
「2017年11月にNNCは創業25年を迎えます。25年を迎えるに当たり、私たちは“日本一の特例子会社をめざす”ことを目標にしています。“日本一”とは、『在籍規模』『働きやすい職場づくり』『CSR活動』の3つの側面で日本一をめざすということです。日本では交通機関や公共施設など設備のバリアフリー化が進みつつありますが、設備面での一層のバリアフリー化は勿論のこと、“心のバリアフリー化”が更に必要になると考えています。私たちは特例子会社として、障がい者や障がい者雇用に対するさらなる理解を広めていく役割も担っています。NNCの社員の中には、企業や地域の小中学校に出向いて講演をしたり、障がい者スポーツに取り組むなどの活動をしている人が多くいます。今後もこのような活動を奨励し、障がい者の社会参画がさらに進むよう努力することが、私たち特例子会社の社会的責任だと考えています」

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