障がい者雇用の取り組み vol.002
2012/10/17

障がいを
感じない・
感じさせない
環境をめざす

プロフィール

ソニー株式会社

グローバル人材開発部門
ダイバーシティ開発部 D&I推進Gp 統括課長
森 慎吾

「自立」から「自律」の時代へ

人々に新たなエンタテインメントや感動を与え続けてきたソニー。画期的な商品や斬新なコンテンツなど・・・つねに先進的な価値を創造しています。それは人材に対する考え方についても同様で、採用や育成、制度等の面でも、先進的な取組みを行い続けています。ダイバーシティの推進においても、多様な業種業態がある中で企業風土として培われたものを、経営課題として活動しています。

まだ世の中で障がいのある方の働き方がこれほど認知されていなかった時代から、独自の障がい者雇用に取り組む同社の採用方針について、D&I推進Gpの森さんにお聞きしました。

「ソニーはファウンダーである井深大の人に対する思いから、障がいの有無に関係なく、さまざまな個性がぶつかり合うことで新たなイノベーションが生まれるという考えのもと、企業として成長してきました。そして1978年には、その井深が『障がい者だからという特権なしの厳しさで健丈者の仕事よりも優れたものを』という言葉を、ソニー最初の特例子会社の設立時に贈りました。この言葉からわかるように、当時から障がいのある方に仕事という厳しい環境の中で必要な配慮の下、『自立』した働き方をめざしてきました。そして現在、この考えは一人ひとりが自分を律して成長する『自律』へと変わり、選考基準の一つになっています。これは障がいの有無に関係なく、社員全員に求めていることでもあります」

周りから特別扱いされない環境だからこそ、自身の可能性を広げることができます。一方、『自律』をうながす障がい者雇用推進のためには必要なことがあります。

「障がいによる業務上の障壁を取り除き、健常者と同じスタートラインに並ぶためには、物理的なサポートを行うのはもちろん、職場の理解も必要不可欠な要素です。障がいのある方と一緒に仕事をしたことがない人は、ともに仕事をすることに戸惑うことも少なくありません。そこで社員には入社時や異動時にガイダンスを行い、理解を促進しています」

ソニーらしい障がい者雇用をめざして

自らの可能性を信じて個性や才能を発揮できる人にとっては、同社は最高の環境となるはずです。その理由のひとつに、仕事をするために障がいを補完する個別のサポート体制や考え方があります。
「一人ひとり、必要なサポートは異なります。そのために、いったい何が必要なのか、本人としっかり話をしています。また本人たちには、職場では『要望はしっかり発信するように』と、いつもいっています。自分から発信をしないと、周りは何をサポートすればよいのかわからないことが多いです。ただ、必要なサポートはできる範囲で行いますが、会社として対応できないこともあります。その時にどのような工夫で障壁をなくしていくのか、自分でどのような努力をしていくのか、これを共に考えていくのも『自律』だと思います。つまり、未来は自分で切り拓いていくことも必要だと考えています」

現在、このような個別対応を行いながら、ソニーグループ全体で配慮やサポートの事例を集約し、ソニーらしい雇用の確立に取り組んでいます。

「ソニーグループには、優秀な人材が集まっていると自負しています。グループで働く社員にはロールモデルになってもらい、ソニーグループや社会に向けて、障がいのある方にとって働きがいのある働き方や環境を、積極的に発信していきたいと考えています。

実際に就職活動をしている学生やその親御さんに、私たちの活動や考え方を理解してもらうため、ソニー独自のイベントや大学での講演会などでも発信をしています。こういったソニーの選考活動の結果として、ソニーに入社されない方もいます。しかし、少しでも多くの方の障がいに対する固定的な観念が変わり、世の中の状況を変えていく人になってくれれば、それだけで価値はあると考えています」
同社は、社会全体のインクルーシブ実現に向けて、つねに先進的な障がい者雇用に取り組んでいます。

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