NTT東日本(東日本電信電話株式会社)
総務人事部 人事第一部門
ダイバーシティ推進室 室長
境 麻千子 氏
「当社では多様な社員が働いており、皆が一緒になって成長していこう、という考えがあります」
ダイバーシティ推進室の室長・境麻千子さんは、こう強調します。
「障がいの有無以前に、男性社員、女性社員、新入社員、熟年社員、育児の有無など、社員の属性は一様ではありません。当然、個性も多様です。属性で区分けすることなく、社員の多様な個性を活かしながら業務に従事し、成果を上げてもらう。当社ではこのことを大前提にしています。障がいを含め、さまざまな背景をもつ社員、そんな社員全員が一緒に成長していくよう努力する。これが当社のポリシーであり企業風土なのです」
境さんのお話によると、「障がいのある社員についても、当社ではダイバーシティに取り組む以前からごく当然のこととして、さまざまな社員たちと一緒に育ち、一緒に働くという『共育』『共働』の環境がありました」とのこと。NTT東日本は、雇用だけでなく、働き方、キャリアパスにおいても、なんら区別なく行っているのです。
「採用の基準は、会社と本人の成長を目的とし、共に働いていけるかどうか。もちろん、入社後、必要な配慮は十分に行います。その上で、本人がもっとも伸びる仕事とそのやり方を考え、実現へ向けてサポートしていく。以上のことは全社員に共通するものであり、障がいの有無と関係なく、以前よりNTTグループではごく自然にやってきたことです」
「障がいのある社員で、グループリーダー、マネージャーとして活躍している人も大勢います」と境さん。多様な個性が「ごく自然に」触れ合い、響き合うことで、活躍できるフィールドが広がっていくNTT東日本。この良き伝統は、将来にわたり間違いなく生き続けていくことでしょう。
NTT東日本では、2008年にダイバーシティ推進室を設置しました。基本姿勢は「多様な人材の活用、多様な働き方の推進により、一人ひとりが能力を最大限発揮することが、トータルマンパワーの最大化につながっていくという認識の下、ダイバーシティ・マネジメントを推進していく」というものです。
「2012年3月、ダイバーシティに関するビジョンおよびコミットメント、具体的には『社員のキャリア開発』『生産性向上(ワーク・ライフ・バランスの推進)』『ダイバーシティ・ポジティブアクション』の"3つのポリシー"を策定しました。一般にダイバーシティは、障がい者のため、女性のためというように狭義なものとして捉えられがちな側面があります。今回のビジョンとコミットメントは、そのような狭義の理解を脱したものです。『かがやきをちからに。モチベーションをイノベーションに。』というビジョンの下、ダイバーシティを強力に推進していくことで、『人と通信で地域をつなぐ会社』として豊かな社会の実現に貢献する。そのためにダイバーシティが必須の経営戦略なのだということを宣言したわけです」
NTT東日本は、障がいのある方にとって働きやすい、いわゆる「バリアフリー」の発想ではなく、「ユニバーサルデザイン」の発想でどの社員にとっても働きやすい環境をつくることをめざしています。
「NTT東日本がめざすダイバーシティとは、障がいや性別などの属性を超えて、誰もが能力を最大限に発揮できる環境を推進することです。誰にとっても心地よい環境で生産性を向上させていく。これが『ダイバーシティ・マネジメント』を重要な経営戦略と位置づける当社の姿勢と合致することは明らかです」
「多様な人材が光り輝いて活躍できる環境を作り、それを次の世代へ渡しいっそう充実させていくこと。それが私たちの使命と考えています」
境さんは話をこのように締めくくってくれました。