障がい者雇用の取り組み vol.023
2013/08/30

障がい者雇用の
受け入れ部門の拡大を
"個別対応"により
進めていく

プロフィール

株式会社コーセー

人事部 課長
後藤 毅臣

ミスマッチを防ぎ長く働いてもらうためには
地道に採用活動を行っていくのが最善の方法

株式会社コーセーコーセーグループの障がい者雇用に対する本格的な取り組みは、特例子会社・株式会社アドバンスの設立からスタートしました。アドバンスの認可は1993年。化粧品業界では初、全国でも25番目の特例子会社です。生産工場を有し、株式会社コーセー(以下、コーセー)の化粧品を製造しています。2013年9月6日、設立20周年を迎えた同社では記念式典が催されました。

また、秋田受注センター(秋田市)では、初の障がい者雇用に際し、業務基準の標準化を実施。この取り組みが評価され、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構から2008年度職場改善好事例奨励賞を受賞しています。今回お話をうかがったコーセー人事部課長の後藤毅臣氏によると、「現在、受注センター内での障がい者雇用率は、10%を超えています」とのことです。

「受け入れ経験のない部門はありますが、焦って採用数を増やしてもミスマッチを起こす可能性があります。当社では、採用した人材には可能な限り長く働いてもらいたい。そのためには、地道な採用活動が最善だと思っています」

後藤さんのいう「地道に」の内容は二つです。一つは、就職を希望する障がい者と出会う機会を広げることです。

「ハローワークだけでなく、公的・私的の障がい者就職支援機関や企業、転職紹介会社など、出会いの窓口を広げています」

徹底した"個別対応"により
どの職場でも障がい者が働く環境をめざす

「地道に」の内容のもう一つは"個別対応"です。

「具体的な雇用事例でお話をします。最近、聴覚障がいの男性を採用しました。年齢22歳。就職は初めてですが、やる気に溢れた青年です。障がいの程度は、片方がまったく聞こえませんが、片方は人工内耳なので聴き取りに困難はありません」

配属は人事部。業務を行う部署は、賃金チームです。後藤さんの"個別対応"は、彼の入社一週間前からスタートしました。

「彼の障がいのこと、業務を行うのにどのようなサポートをするべきかなど必要な情報を箇条書きにして課長クラス全員に配付。そして『どんどん鍛えてあげてください』とお願いしました。配属先の賃金チームでは別途ミーティングを行い、万全を期しました」

賃金チームでは、彼の聞こえる側にメンバー全員が並ぶよう、席の配置を変えたといいます。

「入社日には、人事部全員の前で挨拶をしてもらいました。障がいについても、過剰な気づかいは避けたいということで、彼自身の言葉で伝えてくれました。それに続けて彼は『遠慮しないで何でも申し付けてください』といっていましたね。さらに、新卒の障がい者を対象とした社外のセミナーに送り出しています。セミナーには聴覚障がいの方も何人かいて、親しくなったようです。同期がいないのは寂しいですから。また、社会人になって何年かたった聴覚障がいの方たちから、いろいろアドバイスをもらったともいっていました」

後藤さんの話しぶりからうかがえたのは、「彼の成長を楽しみにしている」ということでした。

この事例は採用後のことですが、"個別対応"は、面接時点から始まっています。

「中途採用の場合は、業務経験とご本人のやりたい仕事に重きを置きます。それをうかがった上で、『この部署にどうか』と候補を絞り、そこの上長に『このような経歴の人がいるのだが』と持ちかけます。興味を示してくれたら、実際に会ってもらうわけです。このプロセスで採用が決まれば、『こんなはずではなかった』というミスマッチを防ぐことが可能になります。戦力として活躍してくれる人が増えることは、受け入れ部門の拡大につながり、ひいては、どの職場にも障がいのある人が当たり前のように働いている環境が生まれることになります」

「本人と部門(職種)をうまくコーディネイトしていく、いわば仲人役」という後藤さん。"個別対応"の積み重ねが、可能な限りミスマッチを防ぎ、定着を拡大させていく。簡単に結果は出ないかもしれませんが、コーセーも後藤さんも「地道に」進んで行くことは間違いありません。

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