障がい者雇用の取り組み vol.047
2015/09/11

Be
プロフェッショナル
for all
~障がいのある人も
ない人も共に
活躍できる
組織を目指して~

プロフィール

三井住友海上火災保険株式会社

人事部人事チーム 課長
下倉 由美子

障がい者の職場定着推進を担う
「チームWITH」の活動と全社取組
「Be プロフェッショナル for all(略称Be プロ)」
のコラボレーション

三井住友海上火災保険株式会社
三井住友海上火災株式会社(三井住友海上)の「障がい者雇用の“今”」を伝えるためには、「チームWITH(障がい者職場定着推進チーム)」の活動と、「Be プロフェッショナル for all (略称「Be プロ」)」という全社取組について紹介する必要があります。

まず「チームWITH」について。このチームは、2001年、三井海上と住友海上の両社が合併した時に発足しました。“WITH”とは「WILLINGLY(進んで、喜んで)」と「THOUGHTFULL(思いやって、思慮深い方法で)」の頭文字です。この二つを理念に、障がいのある社員の職場定着を推進しています。

「聴覚や視覚に障がいのある方が入社されたら、障がいに関する情報を記載したガイドを配属先に案内しています。その内容は、障がいの特徴やコミュニケーションを取る場合の方法と注意点、例えば、聴覚障がいの場合には『体調・天気により“聞こえ”が変化します』というように、職場メンバーが気がつきにくい情報を多数紹介しています。障がいに関する職場の知識が不足していると、どんな仕事を任せてよいかがわからず、ご本人ができる業務は多数あるのに、可能性を狭めてしまうかもしれません。聴覚と視覚を対象にしたガイドを作成したのは、周囲の理解を促進することで、障がいのある方にご自身の能力を最大限に発揮していただくためです」

次に全社員で取り組んでいる「Be プロフェッショナル for all(略称:Beプロ)」について。

「Be プロフェッショナル for all」にはすべての社員が自らを磨き続け、常に品質の高いサービスを提供することができる「真のプロフェッショナルになろう」という想い。そして、プロフェッショナルをめざすのは、自分自身の成長だけでなく「職場のみんなのために」「すべてのステークホルダーのために」という二つの想いが込められています。

「Be プロ」の大きな柱は「学ぶ責任」と「育てる責任」の二つ。「学ぶ責任」は、自分自身の成長。「育てる責任」とは、自分だけにとどまらず職場のメンバーの育成にも積極的にかかわること。そして現状に満足することなく、さらなる可能性を追求し、大胆に新たなアイディアを取り入れる。十分でないものは抜本的に見直すなど、「自分を、職場を、変えていく」という強い気概、すなわち「変えていく責任」を持つこと。
全社員が「Be プロ」の取り組みを通じてさまざまな仕事にチャレンジし、スキルアップを図っています。

人事チームで障がい者採用と職場定着支援を担当する下倉由美子課長は、聴覚に障がいのある社員を対象にした研修について次のように説明しています。

「『チームWITH』では年に一度、聴覚に障がいのある全国の社員を対象に集合研修を開催しています。研修では会社の施策やIT活用力、コミュニケーションスキル向上などについての座学に加え、各自が日常業務において、『Be プロ』を意識して、どのような『チャレンジ』を実践しているかについて、グループディスカッションを通じたノウハウの交流を行い、自身の業務に活かせるヒントを得て、職場に戻って更なる『チャレンジ』に向かっています」

「総合職」と「一般職(キャリア職)」の
カテゴリーを見直し人事制度を改定。
役割変革への挑戦の中、
障がいのある女性地域社員から課長職も誕生

三井住友海上では、役割変革推進のプロセスで従来の「総合職」と「一般職(キャリア職)」というカテゴリーを見直し、新たに「全域社員」と「地域社員」に移行しました。これは大きな人事制度改定でした。

「それまで、一般職(キャリア職)の仕事は自分が業務を行うことで総合職をバックアップするという役割が中心でした。しかし新しい体系では、『転居転勤の有無』以外に両者の差はなく、評価基準も同等です」

この人事制度改定のもと、障がいのある地域社員の中からも女性の課長職が誕生しました。

「『当社では、障がいの有無により人事制度が異なるものではありませんが、障がいに対し必要な配慮は何かを皆さんと一緒に考え、必要な配慮があれば、対応して参ります』
面接の時にこのことをお話しすると『そういう会社で働きたい』と言ってくださる方が多くいらっしゃいます。当社の場合『障がいのために仕事が制限される』などと臆する必要はまったくありません。求められるのは、所属する組織の目標達成のために何が自分にできるのか、自分の能力をどう活かせば良いかを考え、積極果敢にチャレンジしていくことです」

現在の「チームWITH」のメンバー構成は、人事部2名、人事部に属する健康管理センターの看護師2名、聴覚障がいの社員3名、視覚障がいの社員1名、健常の社員2名の計10名です。健常社員の1名は、手話通訳の資格保持者です。

「今後、首都圏では新たに入社される方の配属先のメンバーとミーティングを設け、そこに『チームWITH』の障がいのあるメンバーが同席し、ガイドに記載されている内容や配慮について直接伝えることにより障がいに対する誤解などを防ぎ、積極的なコミュニケーションが行えるよう準備することができればと考えています。また、その他の地域については、全国に配置している障がい者採用の窓口担当者と人事部とで採用後も連携を行いながら、障がいのある社員に活き活きと活躍いただけるよう、さらなる定着をめざしていきたいと思っています」

業務内容を限定しない役割変革と職場定着推進。同社では、徐々にその成果が表れているようです。

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