障がい者雇用の取り組み vol.055
2016/06/14

多様な人財の
成長意欲を促進する
風土がここにある

プロフィール

株式会社クレスコ

人財戦略室 室長
長田 匡生
ジェネラルスタッフリーダー
竹下 真輝

積極的な障がい者採用をスタートさせるために
全社の合意に加え公的諸機関と連携して職場環境を整える

クレスコ、おさださん株式会社クレスコの設立は1988年。以来、独立系のシステムインテグレータとして成長を続けてきました。
クレスコ成長の背景にあるのは「人を財産(人財)とする」理念です。それは“クレスコ憲章”の筆頭に「クレスコは人間中心、実力本位の会社である」と掲げることで明確化しています。

「まず『人間中心』とは、『多様な人財を積極的に迎え入れ、成長の道を進んでもらう』という意味です。そもそも社名にあるクレスコとは、『成長する』というラテン語が由来。そこに、クレスコの理念の根底があります。次に掲げる『実力本位』ですが、これは『多様な人財一人ひとりが、クレスコの仕事を通じて自分はこうなりたい、という自己実現へ向かって成長していき、そのプロセスと結果を平等かつ公平に評価する』という意味です。この理念に則り、私たちは成長を促すための教育研修にかかわるプログラムを綿密に整えています」
そう説明してくれたのは、今回お話をうかがった人材戦略室の長田匡生室長です。

「多様な人財を迎え入れるにあたり、クレスコでは“ある事実”に気づきました。それは『障がいのある人財がまだまだ少ない』ことです。以前からクレスコでは障がい者の採用を継続して行っており、その中には管理職に就く社員もいます。しかし、未来へ向けて成長を牽引する多様な人財として、障がいのある人の採用をさらに拡大する必要がある。そう考え、2008年からクレスコでは積極的な活動を開始しました」(長田さん)

スタートに際し、まず行ったのが「障がい者の採用は、クレスコ社内全体での取り組み」という合意の形成でした。
「幹部会の場で、障がい者雇用関連の法律の話、現状の雇用人数や雇用率など具体的な数値を提示し、各部門部署への受け入れを要請するとともに、その場に『東京障害者職業センター』の方にも同席していただき、障がいの種類や受け入れ時に配慮すべきことなどの話をしていただきました」
これは、同じく人材戦略室で障がい者採用を担当する竹下真輝さんの話です。

「多様な人財を迎え入れる」場合に、まず必要なのは「働きやすく、働きがいのある職場環境の提供」です。この環境があってこそ、「この会社でこのように成長していきたい」という自己実現に対する希求の心も芽生え、またそれが大きく育っていきます。これについて、採用した人財の成長を第一義とするクレスコには十分な理解がありました。

「2012年、新卒で視覚障がいの方を初めて採用しました。彼女は日本盲人職能開発センターでPCに関する研修を受講しており、配属にあたってはセンターの方と連携して職場の理解浸透を図りました。さらに盲導犬の同伴が必要だったため、これも日本盲導犬協会の方を招き、部署を含むフロア全体の社員に説明していただきました。現在、彼女のデスクの隣には、盲導犬のシンシアが十分に休めるスペースがあります」(竹下さん)

多様な人財の意欲を喚起し成長を促進するため
1年間マンツーマンで先輩社員が指導

クレスコ、たけしたさん同社で行う「人財の成長を促進する」ための施策はまだまだありますが、その筆頭に挙げるべきなのが“指導員制度”です。

「当社では障がいの有無に関係なく、新入社員には入社後1年間、配属先部門長が選抜する先輩社員が指導員としてマンツーマンで教育をします。指導員に選ばれるのは現場のリーダーを務める人や会社のエースとして活躍している人が中心。早ければ入社3、4年目で経験する人もいますが、ほとんどは10年目までの中堅社員が務めます」(竹下さん)

指導員選抜に関し重視されるのが“人物”。
「仕事が“できる”のはもちろんですが、さらにお互いを一人の人間として認め合って接することのできる人物。いわば公正・公平な人間性の持ち主。それが十分条件になります」(長田さん)

十分条件が求められる理由は、「クレスコの指導員は単なるOJT要員にとどまることなく、多様な人財の成長について、担当した個人をきちんと理解したうえで促す役割を担っている」からです。これを受けて竹下さんは、次のように話します。

「ただし、部門長が『この人なら』と選んだ指導員でも、障がいのある方との接し方に熟知していることはごく稀です。そのため、不安を感じる方もいると思います。そうした時、指導員のサポートを行うのも私たちの役目です。2015年4月、視覚障がいのある方、聴覚障がいのある方をそれぞれ採用したのですが、入社前に指導員や同部署で働く社員を集めて説明会を開きました。職能センターの方をお呼びし、聴覚と視覚の障がいにはどのような特性があり、どのような点に注意を払う必要があるか。どんなフォローをするべきかなどの説明を受けました。質疑応答の時間を設け、説明会を通じて可能な限り不安を払拭したうえで指導員としての役割をスタートしてもらうようにしました」

これ以外にも、指導員が業務に関する研修を行う場合、「障がいの状態に応じて、ティーチングやコーチングなどアプローチ方法を工夫するなど、指導方法を変えていただく依頼もしています」(長田さん)とのことです。

クレスコは、常にイノベーションの最先端を進もうとするシステムインテグレータ。そのため、社員の9割弱がSEを核とするエンジニアで占められています。もちろん、障がいのあるエンジニアもおり、中には幹部社員としてプロジェクトマネジャーを務める社員やCET(CRESCO technical Expert Team)という社内の技術スペシャリスト集団の一員として活躍している社員もいます。

「障がいのあるエンジニア志望者にたくさん入社してもらい、誰もやったことのない仕事や分野に挑戦してもらう。評価はすべて公平、平等。クレスコは成長意欲の支援に力を惜しみません」(長田さん)

多様な人財を迎え入れ、成長を促進する風土。クレスコのその風土に、曖昧さは一切ないと感じました。

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