障がい者雇用の取り組み vol.056
2016/08/02

才能と情熱を
解き放つために
個人を開花させる
インフラでありたい

プロフィール

ヤフー株式会社

人財開発本部 人財採用部 リーダー
大森 靖司

橋村 匡哉

情報技術で人々の課題を解決するために
全従業員が「ヤフー・バリュー」に基づいた行動をする

ヤフー、おおもりさんヤフー(以下Yahoo! JAPAN)のミッションは情報技術で人々や社会の課題を解決する「課題解決エンジン」です。まずは同社の人財採用部リーダーの大森靖司さんに、Yahoo! JAPANのめざすことについて語っていただきました。

「情報技術(IT)を通じて、『便利になる』『暮らしが楽しくなる』『地方が元気になる』などの幸せを少しずつ増やしていく。このように『インターネットの力で日本を希望あふれる社会に変えていく会社でありたい』と考えています。このことからYahoo! JAPANは『インターネットの力を活用できる人を増やす』という使命を負っています。周知のとおりインターネットは普及しましたが、活用できている人とそうでない人の差がまだあります。

例えばeコマース(『Yahoo!ショッピング』のように、インターネットやコンピュータなどの電子的な手段を通じて行う商取引の総称)などを活用することで、今まで店舗のある周辺地域にしか販売することができなかった日本の良いモノを全国に販路を広げることができます。またインターネット広告を使えば、大手企業などに限られていたマスメディアへの広告出稿も、少ない予算でもそのお店の商品により関心の高いと思われる人に広告を出すことができます。Yahoo! JAPANは、eコマースや広告などの事業を通じて、インターネットの力を活用できる人の裾野を広げていきたいと考えています」

そんな同社のミッションである「課題解決エンジン」を実現するために、従業員向けの行動規範として「ヤフー・バリュー」があります。2012年に新経営体制に移行して、経営方針が大きく変わりました。従業員自身の意識も、その方針に変えていかないと、変化の激しいインターネット業界では生き残れません。「ヤフー・バリュー」は、経営方針を定義したものであると同時に、従業員の日々の仕事や働き方に対する経営メッセージであり、人事制度をはじめ色々な場面に盛り込まれています。

障壁を取り除くことで
誰もが働きやすい環境を実現する

ヤフー、はしむらさん「Yahooには、“ならず者”という意味があります。私たち人事は、“型にはまらない人財”を志向すると解釈しています」(大森さん)

「型にはまらない人財を志向する」のは千変万化、日進月歩で革新が起こるインターネット産業で活動するYahoo! JAPANの経営戦略。大森さんは、この企業文化から生み出されるのが「やりたいことがあれば、それをどんどん提案し実現させていくという、ボトムアップを歓迎する社風です」と言います。

この“やりたいこと”とは、すべて、Yahoo! JAPANが掲げる「情報技術で人々や社会の課題を解決する」というミッションに合致した業務活動であり、未知の課題にも好奇心を持って取り組み、変化を楽しみながら挑戦していく「ワイルド」という「ヤフー・バリュー」のひとつにも基づいています。

大森さんと同じ人財採用部に所属する橋村匡哉さんは、自身のミッションについて次のように語ってくれました。
「現在の私のミッションの1つに、仕事をしていく上で発生する、障がいがあるゆえの障壁を取り除くこと(受け入れ態勢の構築・フォロー)があります。例えば、聴覚障がい者であれば、発話の音声を文字に自動変換する音声認識アプリの存在を紹介し、聴覚障がい者はもちろん、一緒に働く仲間にも認識してもらい、その情報技術を活用することで働きやすい環境を築けるのではないかと考えています。
私は聴覚に障がいがありますので、同じ障がいのある人がどんなことに困っているかがよく理解できます。例えば、聴覚障がい者にとって業務遂行上の大きな困りごとは、情報取得に関するもの。具体的には会話などにより発生する情報の遅れと収集量の不足です。打ち合わせの内容を録音しても、それを起こすのに時間がかかります。ノートテイクなら遅れはありませんが、ノートテイクしている人が打ち合わせに参加(発言)する機会が少なくなってしまうというデメリットが発生します。これらのデメリットなどは情報技術で解決できることがあると考えています」

橋村さんによると、「聴覚障がい者に向けた取り組みはごく一例」とのことです。
「他の障がいの場合でも受け入れる側が正しい理解をすることで、お互いにとって仕事のしやすい環境が築けると考えています。そのため、受け入れる側に向けた障がいへの理解促進を目的とした研修を実際に始めています。また、障がい者をフォローアップする仕組みを構築したりと、障がいによる障壁を可能な限り減らせるように取り組んでいます」(橋村さん)

これらは情報技術のみでは解決できないものもあり、時間がかかるものもありますが、時間をかけて100%をめざすのではなく、今の状態の50%を70%に押し上げられるのなら即座に取りかかる。実は橋村さんのこの取り組みはヤフー・バリューの課題解決、爆速、フォーカス(やるべきことにフォーカスした取り組みを行う)、ワイルド(失敗を恐れず、恥じず何事にも勇敢にチャレンジしていく姿勢)に基づいたものになっているようです。

課題解決を通してさまざまな経験を積むことで
人財の才能開花を促す

冒頭に述べたようにヤフー・バリューは人事制度に盛り込まれており、このヤフー・バリューをどれだけ発揮したかが評価の基準のひとつになっています。同社ではこれをバリュー評価と呼んでいます。実は評価をくだすのは上司(管理職者)だけではありません。一般社員の場合、評価は自己、上司、同僚に他部署の関係者が加わり行われます。管理職者であれば、自己、自分の上司、部下全員、他部署の関係者から評価を受けます。

この評価について、大森さんは次のように言います。
「評価を受ける人は、あらゆる角度から見られていることを意識します。一方、評価する人は、バリュー発揮の程度という評価基準がありますから、それに従ってしっかり観察しなければいけません。評価は、印象論のような曖昧さを排し事実に基づいた内容が求められます。
この評価を取り入れた背景には『人は、見られることで自分を意識する』という組織活性の考え方があります。自分の仕事が見られていると感じることで、仕事に対する意識に明らかな変化が生まれ、新経営体制に移行する際、全従業員の意識を抜本的に変えるためにこの仕組みを導入しました。また、Yahoo! JAPANは従業員に対して、“人財開発企業”を掲げています。『人財開発』とは社員一人ひとりが人間として成長し、発達していくこと。個人の可能性を開花させるためのプラットフォームとして、Yahoo! JAPANが存在しているのです。Yahoo! JAPANには100以上のサービスがあります。広告やメディア、決済サービスから始まり、ショッピングやスポーツ、各種エンタメまで。1社の中でこれほど幅広い経験ができる会社は、他にはなかなかありません。さまざまな仕事に携わるうちに、新しく興味が持てる分野を見つけることもあるでしょう。思いもよらない配属から、今まで知らなかった自分の才能を見いだされた人も、大勢います」

さらに障がい者雇用の取り組みについても続けてくれました。
「Yahoo! JAPANは情報技術を通じて人々や社会の課題を解決する企業であり、人財開発企業でもあります。これからも、障がい者雇用の面でもさまざまな取り組みを行っていきます」(大森さん)

「障がいのある私だからできることが沢山ある。自分自身が困ってきた経験を活かすことはもちろん、他の障壁に関しても人一倍感度を高くし、積極的に取り組んでいきたい。このミッションでは、これまでYahoo! JAPANで取り組んでいなかったことを現実化させるのが私の任務であり、私だからできることだと思っています」(橋村さん)

同社の人事が大切にしていることは、社員の“才能と情熱を解き放つ”ことです。
時間を忘れて熱中してしまうほど、誰もが仕事を楽しめる。好きだからがんばれるし、がんばれるからもっと好きになる。そんな人が集まった会社は、大きなエネルギーを生み出していくと信じて業務に取り組んでいるように感じました。

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