障がい者雇用の取り組み vol.06
2013/01/28

「長く勤めてもらう」
ため、フォロー策を
積み重ねていく

プロフィール

株式会社りそな銀行

人材サービス部 担当マネージャー
阿部 正行

“非公式な面談”を通じて
業務や職場環境の悩みなどを引き出す

 「採用はもちろんですが、定着がさらに大事。せっかく入社してもらったのだから、長く勤めてほしいと思っています」

人材サービス部の障がい者採用の専任担当者である阿部正行担当マネージャーは、こう話してくれました。

りそな銀行では、採用後、障がいのある社員の約80%が支店配属となり、店舗ロビーでの勤務(庶務スタッフ)に就きます。店舗内で、お客さまに何か迷った様子がある場合、必要な案内をする業務になります。

「銀行はあらゆる業種の中で、コンプライアンス(法令遵守)に関して、とりわけ厳しい姿勢で取り組んでおり、従業員に対する規則も設けられています。また、商品に関する知識も、いわゆる銀行業務に加え、生命保険分野や債券・証券など有価証券分野についても覚える必要があります。しかし、庶務に配属されるほとんどの方は、銀行勤務の経験がありません。

フロアでお客さまをご案内する庶務スタッフは、最初にお客さまと接するポジションです。たとえ本人の業務経験が浅くとも、そのことを知らないお客さまにとっては『りそな銀行の職員』に変わりはなく、当然『この人に尋ねれば何でも教えてもらえる』と考えます。しかし入社間もない職員にとっては、これが重荷に感じられることもあるようです。もちろん、配属前に研修を行いますが、それでもこうした知識不足による負担が定着に影響を与える可能性は否定できません」

阿部さんがそれに気がついたのは、面談を通じてのことでした。

「従来から、入社3カ月ほどで配属先の店舗へ出向き、フォロー面談を行ってきました。面談では、主に業務の習熟の程度、体調の具合、人間関係、職場での配慮などを尋ね、問題点があれば店舗にフィードバックし改善してもらいます。ただ、この“公式の面談”だけではホンネがつかみにくいこともあります。そこで、フォロー面談を入社半年後にずらし、その前にいわば非公式な面談を実施することにしました。具体的には、日にちを決めず店舗を訪問し、雑談風な形で話をしてもらいます。業務や職場環境に関する悩みなど胸にたまっているものがあれば、それを話やすい状況をつくることにしました。この“非公式面談”を始めてから、退職者は急減しました」

障がいのあるベテラン職員の活用・協力で
「定着が大事。長く勤めてほしい」をさらに促進させる

現在、阿部さんが実施しているフォローのための施策は、非公式な面談にとどまりません。

「ある支店の部長がよい提案をしてくれたため、それを実行しています。内容は一種の研修です。同じ地区の支店に勤務する障がいのある庶務スタッフに、3カ月に一度集ってもらいます。その場で部長が、コンプライアンス、店頭でのマナー、商品知識というキーポイントになる事項をレクチャー。終了後に、お互いが仕事のこと、障がいのことなど、本心を隠さず語りあえる自由時間を設けました。この時間が悩みを解きほぐす役割を担っています。

この研修を進めていくことで、定着の促進にはどのようなフォローが必要なのかという事例が集ります。それを情報として各店舗に提供することで、障がいのある庶務スタッフへの対応が平準化されるようになるわけです。この研修は大変に有益であることがわかりましたので、今後は拡大していく方針です」

もう一つ、阿部さんが実行しようとしているプランがあります。
「障がいのある先輩庶務スタッフが、『人事との橋渡しになろう』と申し出てくれました。まだ社歴の浅い庶務スタッフの中で、職場での配慮や業務内容について悩みを抱え込んでしまったり、壁に突き当たったという人に対し、相談相手になり心の解きほぐし役になるという意味です。彼の社歴は3年を超えており、業務にも余裕をもって取り組んでいます。また、障がいのあるスタッフと同じ壁を乗り越えてきた経験も有しています。その立場からのアドバイスは、受け入れやすいはずです。この“橋渡し”プランは、すぐにでも実施しようと考えています」

ベテラン職員の活用・協力については「彼らに新人の研修を任せるのも効果的な方法だと思いますね」と阿部さん。

「新人の研修を通じて、自分が頼られる存在であることが実感できれば、業務に対する彼ら自身のモチベーションも間違いなく上がっていきます」

紹介した種々のフォロー施策は、庶務スタッフだけに限られたものではありません。りそな銀行に勤務する障がいのあるスタッフすべてに対応できる内容を有しています。これが全社に、そしてグループ会社へ拡大させることで、阿部さんのいわれる「定着が大事。長く勤めてほしい」が、現在よりいっそう具現化されていくことでしょう。

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