障がい者雇用の取り組み vol.073
2018/04/13

一人ひとりの
成長を
企業の発展に
つなげる

プロフィール

ダイキン工業株式会社

人事本部 ダイバーシティ推進グループ
担当課長
井上 雅人

2016年12月、新たにグループ全体の
「障がい者雇用の考え方」を策定

まつおかさんダイキン工業株式会社は、「企業の競争力の源泉は人である」という考え方に基づいて成長を続けてきました。「一人ひとりの成長の総和が企業の発展につながる」という信念のもと、人の持つ無限の可能性、多様な個性を活かして組織の力にしていくことをグループ全体で実践してきました。
「日本で“ダイバーシティ”という言葉が一般に使われるようになる以前から、ダイキン工業には、年齢や性別、国籍や人種、障がいの有無、ライフステージの違いなど、多様性を尊重し、さらに強みとする企業風土がありました」と語るのは、ダイバーシティ推進グループ担当課長・井上雅人さん。障がい者雇用については、1993年に設立された特例子会社・株式会社ダイキンサンライズ摂津を中心に取り組んできたと話されます。
そこでは、身体障がい、精神障がい、知的障がいなど、さまざまな障がいのある社員が、空調機部品の組立、油圧潤滑装置部品の加工・組立、フッ素化学製品の製造、CAD図面の作成、各種名刺の作成などの業務に従事しています。社員全員がやりがいを持って働くことができるよう、職場環境の充実、コミュニケーションの円滑化などに取り組んできました。
「このような中で、2004年にはダイキングループ全体で障がい者雇用率2.74%を達成しました。しかし一方で、本体や関連会社では障がい者雇用が進まず、その後の事業拡大に伴う従業員数の増加もあり、グループの雇用率は年々下がってしまいました。
そこで、取り組みをより強化するために、2016年12月、新たに“障がい者雇用の考え方”を策定したのです」

丁寧で個別的な対応の積み重ねが、
今後の取り組みにつながる

方針のベースはやはり「一人ひとりの成長の総和が企業の発展につながる」という信念。人が持つ能力は百人百様であり、障がいの特性も一人ひとり異なること。それを理解し、適正を見極めながら、それぞれが能力を発揮できる職場環境を個別的に作っていくことなどを、改めて明文化したものでした。これを受けて、2018年4月、本体でも7名の障がいのある新入社員を受け入れることになりました。特に部門を限定せず、総合職として採用し、内定後の2017年11月から、受け入れの準備を進めてきたと話されます。
「これから入社される方は、視覚、聴覚、内部疾患、下肢、発達など、障がいの内容もさまざまです。配属部門については採用面談を進める中で相談し、能力や適性に合わせて、営業部門、研究開発部門、製造部門などに配属されることが決まりました。内定後の秋からは、まずは一人ひとりと面談を行い、不安に思っていること、配慮してほしいことなどをヒアリングしていきました。その後、部門との面談や職場見学を通して、実際に業務を行う場所の動線を確かめたり、先輩社員と話をしたりしていただきました。入社前にできるだけ不安を解消できるようにとの考えからです」
同時に社内では、どのようなフォローができるかなどを、業務に照らし合わせて具体的に検討してきたという井上さん。
「人事本部としても手探りでのスタートです。ダイバーシティの取り組みについては、こうすればうまくいくというような“魔法の杖”がありません。たとえば、業務におけるわかりやすい手順を示すこと、安全面に配慮すること、コミュニケーションの取り方に工夫をすることなど、丁寧に個別の対応を積み重ねていくことが必要です。それが今後のノウハウにつながっていくと考えています。また入社後、実際に仕事をする中で、思いもよらないような課題が出てくるかもしれません 。継続的にコミュニケーションをとりながら、できる限りの対応をしていこうと考えています」

ダイバーシティ推進への企業風土を
今後さらに醸成したい

“障がい者雇用の考え方”の策定を受け、組織全体で理解を深め、さらに気運を高めるための施策として、2017年12月、外部講師を招き、障がい者雇用の拡大・活躍推進についての講演会を実施しました。出席対象者は、製作所人事担当者や新入社員配属予定部門の基幹職、各部門の企画部基幹職などでしたが、それ以外の役職や部門からも予想以上の出席者があり、関心の高さがうかがえたと井上さんは言います。
「普段、障がいのある方々と接することがない人にとって、障がいの特性によってどのような困りごとがあり、そのためにどんな配慮やフォローが必要なのか、知る機会がありません。それによって受け入れ側に無意識の遠慮が生じたり、不安に感じたりという場合があると思うのです。その不安を少しでも解きほぐすことができるのではないかと考えて実施したのですが、想定を超えた数の社員が集まり、会社全体に障がい者雇用についての意識が高まりつつあると手応えを感じました。今後は雇用の拡大だけに留まらず、様々な障がいのある方がやりがいを持って能力を発揮できる環境をグループ全体で整え、ダイバーシティ推進への企業風土をさらに醸成させたいと考えています」

多様な特性のある人がともに働くことにより、そこから新たな価値観や創造性が生まれ、ビジネスに反映されることを期待していると語る井上さん。それこそが、ダイキン工業が大切にしている「企業の競争力の源泉は人である」という考え方につながるのでしょう。

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