障がい者雇用の取り組み vol.076
2018/06/05

多様性を尊重し
戦力として
採用することで
活気ある
職場をめざす

プロフィール

太平洋セメント株式会社

人事部 人事グループ リーダー
森崎 義仁
人事部 採用チーム
齊藤 真璃子

社会貢献から戦力としての採用まで
蓄積されたノウハウが雇用の意識を改革させる

もりさきさん太平洋セメントは1998年10月に秩父小野田と日本セメントが合併して設立された業界のリーディングカンパニーです。セメント、資源、環境、不動産、建材、海外など、多岐にわたって事業を展開しています。また、大量の廃棄物や副産物の処理・再資源化が可能なセメント工場の特性と、長年培ってきたリサイクル技術を生かして地球環境保全と循環型社会の実現に向けて取り組んでいます。

同社における障がい者雇用の歴史は2000年から本格的に始まりました。その背景について、人事部人事グループ リーダーの森崎義仁氏に話をうかがいました。
「当時、当社の障がい者雇用率は0.82%と法定雇用率をはるかに下回っていました。しかしそれでは、業界のリーディングカンパニーとしての社会的責任を果たしていることにはならない。そこで、2000年から障がい者雇用促進委員会を設置し、3社の特例子会社を設立するなど改善に取り組んできました。その結果、現在は2008年から10年連続で法定雇用率を上回ることができています」

業務の切り出しを行い、工場での業務などを特例子会社の従業員に任せることで雇用率は大きく改善しました。そして2016年からは、障がい学生の新卒定期採用にも取り組み始めました。
「それまでは、企業の社会的責任という意味合いで、特例子会社での雇用を前提として採用に取り組んできましたが、一方で当社従業員の中で怪我や病気などにより健常者から障がい者となられた方々を見てみると、工夫次第で障がいの有無に関係なく戦力として活躍されていることにあらためて気付きました。そこで、お任せする業務内容を見直すとともに、新卒採用にも取り組む必要性を感じたのです」(森崎氏)

新卒からキャリアを積んでもらい、成長を支援することで更なる戦力化を図る。個々がステップアップすることで、当然企業としても更に成長を遂げていきます。そのために同社では、雇用のダイバーシティを推進するために、2015年からダイバーシティ推進室を設置し、性別、国籍、障がいの有無等に関係なく、誰もが能力を発揮できる環境を整え、また他の従業員に対してダイバーシティの考え方を浸透させることに取り組んでいます。さらには、従業員の成長を後押しするために研修制度や資格取得支援制度を充実させる一方で、従業員に障がい者雇用の理解を深めてもらう研修も開催しています。

個々に合わせた働き方を用意することで
誰もが能力を発揮できる

同社で勤務する障がいのある従業員は現在45名(2018年5月時点)。その中には営業や経理、人事、工場勤務などの最前線で活躍している方もいます。
「当社では様々な雇用形態を用意しています。正従業員でも転勤のあるコースと原則転勤のないコース、正従業員の規則では対応が難しい場合は嘱託、そして特例子会社雇用です。障がいの程度や本人の適性等を踏まえて最適な雇用形態をご提示するようにしています」(森崎氏)

また、従業員の職場定着に関してもさまざまな取り組みを行っています。
「制度や設備を整えることで、従業員が長く勤務できる環境を用意することを心がけています。例えば、重度の方に対しては一人ひとりに相談員をつけて、業務が円滑に進むようにフォローしています。また、上司との面談の場を通じて、必要な配慮や仕事に関する悩みなどを相談できる機会を設けています」(齊藤氏)

同社では、その他にも通院のための休暇制度やフレックスタイム制、半休制度などを充実させ、個人に合わせた働き方を提供しています。こうした取り組みが、同社の離職率の低さにつながっています。

しかし一方で、森崎氏によると課題もあると言います。
「障がい者雇用へ取り組み始めたのが比較的早かったため、離職率の低さもあり従業員の高齢化が進んでいるのも事実です。そのためには新卒採用を強化していく必要があります。今後は受け入れ事業所や業務の幅を更に広げていきたいと考えています」

多様な就労形態とその人に合わせた働き方の提供。それこそが、誰もが能力を発揮できる環境につながっているのでしょう。

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