障がい者雇用の取り組み vol.084
2019/03/25

ダイバーシティ
推進室を中核に
障がい者雇用への
取り組みを加速

プロフィール

芙蓉総合リース株式会社

総務部 ダイバーシティ推進室長
黒沢 由季子

障がいのある人がもてる能力を発揮して成長を続ける
それが周囲にも好影響をもたらすと考える

くろさわさん芙蓉総合リース株式会社。同社を知るうえで重要となるのは、社名にある「総合リース」という言葉です。
まず同社の「リース事業」とは、お客様(主に法人)が必要とする設備を代わりに購入し、お客様に貸し出すサービスのことです。次に「総合」とは、「ありとあらゆるサービス」を示しています。一例を挙げれば「航空機」。莫大な費用がかかる航空機を、航空会社に代わり購入し、リースします。リースと言えば、一般にはコピー機などのOA機器を思い浮かべますが、その対象は船舶や自動車などの輸送用機器、CTスキャンやMRIなどの医療機器、チェーン展開する小売店の店舗設備、エネルギー・環境機器など、あらゆる分野に及びます。建物のリースも芙蓉総合リースの得意な分野です。このように同社のリース事業はたいへん大きなスケールを有しています。

「当社は、法人との取引を中心に行ういわゆるBtoBの企業です。リースという事業は個人の方には馴染みが薄く、具体的なイメージを持ちにくいのでしょう。採用活動を進めていても、事業の醍醐味が伝わりにくいところがあります」
こう話されるのは、総務部ダイバーシティ推進室の黒沢由季子室長。同室は、2017年10月に発足しました。

「当社の障がい者雇用率は2.3%です。法定基準の充足は企業として当然果たすべきことですが、より重要なのは、受け入れた多様性(ダイバーシティ)をどのように企業発展の原動力にしていくかです。そのためには『障がいのある方向きの仕事』ではなく、『その方の能力を最大限に発揮してもらえる仕事』をいかに提供できるか、提供し続けられるかが大切です。そうすることで、仕事の領域を拡大してもらい、戦力として活躍していただく。目標をここに置いて採用活動を行っています。また、こうした方々の活躍は、周囲に好影響を与えるとも考えています」(黒沢氏)

「周囲への好影響」は、黒沢氏のおっしゃるとおりです。職場で活躍している障がい者の方が同僚にいれば、「障がいに応じて必要となるサポートをすれば、自分と同等、もしくは自分以上に仕事ができる」という認識と評価が生まれ、「自分もさらに成長していかなければ」という意識が醸成されるはずだからです。

ワークとライフ双方のクオリティを高める諸制度の実施
そして仕事の幅をさらに拡大することで
障がい者雇用を前進させていく

芙蓉総合リースでは、「お客様の期待に応えるソリューションを提供するため、多様な価値観や発想力をもった人材の育成・登用」に努めると同時に、事業を発展させるために「ワークとライフ双方のクオリティを高めることのできる職場環境の整備」にも注力しています。つまり、仕事と生活のどちらを優先させるかではなく、仕事の時間が豊かであれば、生活の時間も豊かになるという考え方なのです。そのために用意されている制度は多岐にわたります。

「たとえば、選択型時差出勤制度。自身の生活スタイルにあわせ、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げができます。障がいによっては通勤ラッシュを避けたいという方もいますので、この制度はたいへん好評です。全社員でも約6割がこの制度を選択しています。また、子育てサポート企業として高い水準で両立支援の取り組みを行っていることを厚生労働省から評価され、“プラチナくるみん認定”を取得しました。現在、男性社員の育児休業取得率は44%。これを2019年度には80%にすることを目標に活動しています」(黒沢氏)

制度の一例を紹介しましたが、この他、週一回の「リフレッシュデー(ノー残業デー)」の設置、毎月一回、いずれかの金曜日を選択して15時に早帰りできる「+Friday」等々、独身時はもちろん、結婚、そして育児、介護など生活の節目節目に必要となる「両立支援制度」も整っています。そしてこれらの取り組みに対する社員の評価が、離職率1.0%という数字に表れているわけです。

「ただ、障がい者雇用に課題がないわけではありません。具体的には、障がいのある方に提供できる仕事の幅の広さがまだ十分ではないという点です。そのため、複数の部署に対し、障がいのある方を受け入れるための研修をスタートさせました。また、これまで受け入れ実績のなかった部署への働きかけも始めています。すべてが一度にスタートとはいかないまでも、こうした取り組みを通じて、たとえ少しずつであっても受け入れ部署と仕事の拡大をはかっていきたいと考えています」(黒沢氏)

障がい者の雇用に近道はありません。わずかな前進が次の前進につながっていく。芙蓉総合リースの活動は、近い将来、必ず実を結ぶことでしょう。

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