障がい者雇用の取り組み vol.090
2019/10/28

“A Better Life,
A Better World”
多様性の尊重が
企業理念の
実現につながる

プロフィール

パナソニック株式会社

リクルート&キャリアクリエイトセンター
多様性採用推進室 室長
金子 健志
主務
香山 理恵子

多種多様な部門で障がいのある社員が活躍中

かねこさんパナソニック株式会社は、「事業は人なり。ものをつくる前に人をつくる」という企業理念に基づき、人種や国籍、性別、障がいの有無などの属性にかかわらず、社員が等しく機会を有し、多様な個性や価値観を尊重し合いながら、グループ全体の総合力を高めてきました。

「新卒・中途採用ともに、それぞれの求職者が、これまでの知識や経験を生かしながら、当社で十分に能力を発揮できる人であるかを重視して選考しています。障がいのある方々に関しても特別な人事制度を設けず、健常者と同じ観点で選考しています。そして入社後も、特に分け隔てなく仕事をしていただいています」と語るのは、多様性採用推進室・室長の金子健志氏。障がいのある社員への合理的配慮については各部署できめ細かく行い、一人ひとりが能力を最大に発揮できる環境づくりに取り組んでいると話されます。

採用する職種についても、本社や関係会社では総合職のみならず専門職でも積極的に採用し受け入れられており、地域や行政と連携し運営をしている特例子会社6社においても、その地域の障がい者雇用を推進することにより、グループ全体で法定雇用率を達成しているそうです。

「特例子会社以外での雇用については、以前は主に身体に障がいのある方が製造関連業務に従事しているケースが多かったのですが、現在では特に職種を限定せず、技術部門、営業部門、スタッフ部門など、多種多様な職種に、障がいの種別を問わず従事していただいています。例えば技術部門には身体障がいのある方が、知的財産部門やスタッフ部門には聴覚障がいのある方が仕事をしているというような状況です」と語られるのは、同推進室の主務・香山理恵子氏。障がいのある社員が仲間に加わることで、周りの社員の理解や認識が深まり、お互いに助け合う風土も生まれていると話されます。

障がいの種類や部門を越えた
当事者同士のネットワークづくり

こうやまさん障がいの内容に関係なく社員をより積極的に受け入れ、社内の仕組みや風土づくりを促進していきたいと話される金子氏。周囲の人たちの理解や協力はもちろん、当事者が自身の障がいについてより客観的に認識し、どんな環境が整えばどう活躍できるのかを伝えられることも、円滑なコミュニケーションには欠かせないと話されます。また最近では、障がい内容や部門を越えた当事者同士のネットワークづくりにも力を入れているそうです。

「障がいのある社員に対し、これまで各部署や職場でのサポートは充実させてきましたが、その枠を越えたつながりをつくるサポートは十分ではありませんでした。そこでワークショップや懇親会を開き、当事者がまず知り合い、そして語り合う場を設けています。横のつながりが生まれることで、当事者にしかわからない悩みなどを語り合ったり、もっと働きやすい職場をつくるには何が必要かについて意見交換をしたり、先輩社員が若い社員にアドバイスをしたりというような、有意義な場になっています」と、金子氏は語られます。

「ワークショップでは、自分とは異なる障がいのある社員と初めて知り合い、その障がいならではの悩みを知ったという意見もありました。これまでとは別の観点から、より良い職場環境について考えられるようになったという方もいます。今後は、さらに多様なバックグラウンドのある社員、また他の社員などにも参加いただき、より働きやすい環境をつくっていきたいと考えています」と、香山氏も語られます。

さまざまな背景を持った人が
特性や経験を持ち寄って生活を豊かにする

「当社のブランド・スローガンは“A Better Life, A Better World”です。“The”ではなく、“A”としているのは“一人ひとりの生活や価値観を大切にしていこう”という意味を込めているからです。そのスローガンは事業活動においてはもちろん、人材活用においても同じように生かされていると思います」(香山氏)

社会のニーズが多様化する現代、その中に生きる私たちの願いや欲求が、それぞれに異なるのは当然のこと。パナソニックは、そんな一人ひとりの生活者にきちんと向き合って応えようとする企業であり、だからこそ、多様な社員に集まってほしいと、お二人は話されます。

「単にダイバーシティの一環としてではなく、今後益々多様化していく社会に貢献し続ける企業として、障がいのある方々の経験や知見はとても貴重だと考えています。さまざまな特性や個性、経験を持ち寄ることによる気づきこそが、生活をより便利で豊かにするアイデアにつながります。それは“A Better Life, A Better World”という私たちのブランド・スローガンそのものなのです」(金子氏)

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