障がい者雇用の取り組み vol.093
2020/01/28

「明日も会社に
行きたい」
そんな職場
づくりをめざす

プロフィール

株式会社日立システムズ

人事総務本部 人財戦略部 主管
青木 明美

誰もが「働きがいのある職場づくり」をめざし
気づきと情報共有に注力した取り組みを実践

あおきさん日本のIT黎明期から世の中の変化に対応し、幅広い業種・規模のお客様の経営や業務をITでサポートしてきた日立システムズ。企業理念・経営ビジョンにもとづく事業ブランド「Human*IT」を掲げ、多彩な「人財」と先進の情報技術を組み合わせた独自のサービスによって新たな価値を創出しています。日立システムズの原動力は、1万人規模の「多彩な人財」です。

「当社が掲げる事業ブランド『Human*IT』とは、IT(技術)の価値を高めるのはHuman(人間力)であり、その人間力を結集することがより良いサービスの創出につながっていくという考え方です。私たちは人財こそが当社にとって大切な資源・宝であり、多様な人財が共に働くことは当社が成長していく上で欠かせないことの一つと捉えています。その中には、障がいのある方も含まれています」

このように、日立システムズが推進する人財雇用の基本姿勢について語るのは、人財戦略部の青木明美氏。日立システムズでは多様な人財が持つ個々の違いを「価値」に変え、組織の成長・変革に生かすダイバーシティ経営を推進するために「ダイバーシティカンファレンス」を開催するなど、積極的な活動を行っています。青木氏は、そのダイバーシティ推進センタの立ち上げから携わってきました。ダイバーシティを重視した職場づくりを推進する日立システムズの障がい者雇用についてお話を伺いました。

「当社が行う取り組みの一つに『障害平等研修』があります。この研修を行うきっかけとなったのは、車いすを使用する従業員が自己啓発のために某NPO法人の研修に参加し、『障害とは何か』をファシリテーションできる資格を取得したことでした。社内でその成果を発表しようという話になり、同研修が始まりました。障がいのある従業員が所属する部門の管理職を対象に、『障害とは』を新たな視点で考えます。当事者ならではのリアルな視点から情報を発信することで障がいに対する理解を深めてもらい、さまざまな機会を活用して社内全体で情報を共有し気付きを得て、一人ひとりの行動につなげてもらうことが研修の狙いです。この研修後、車いすを使用する従業員にとって使い勝手が悪かった給湯室のレイアウトを調整するなど、成果が出始めています。当社には現在200名以上の障がいのある従業員が在籍しています。この2年間で障がいのある従業員が働く部署の管理職については研修が一巡しました。今後は、対象者を拡大し実施していく予定です」(青木氏)

日立システムズでは、障がいのある従業員が気軽な雰囲気でコミュニケーションを図る「ランチミーティング」も開催しています。「障害平等研修」と同様に、ランチミーティングによる“気づき”や改善の事例も多いといいます。

「ランチミーティングを通して、全従業員を対象にしたe-ラーニングの教材の中に、視覚障がいのある方には使いにくいものがあることがわかりました。すぐに音声読み上げソフトに対応した文章に変更するなど、対応を行いました。また、通勤途中などで困ったことがある場合に周囲に掲示できる『ヘルプカード』の活用を薦めるなど、当事者が一人で抱え込むのではなく、気軽に相談することで心の障壁を軽減できる環境を、少しずつでも整備していくことが大切だと感じています」(青木氏)

新たな視点で「働く場所」を創出することで
さらなる雇用の拡大につなげる

日立システムズの障がい者雇用率は2.48%です(2019年10月現在)。身体や知的、精神などさまざまな障がいのある方が、管理的な部門や事業部門などで、幅広く配属されています。

「当社では『人権委員会』の中で事業部ごとに障がい者雇用の目標値を設定し、人事部門と協力して特性に応じた適財適所の配属を実践しています。その成果が、年々の雇用率アップにつながっているといえます。当社では『働き方改革』が打ち出される以前から、障がい者だけでなく育児・介護をする従業員を含めた在宅勤務制度を導入するなど、どのような立場の従業員もフレキシブルに働ける職場づくりに積極的に取り組んできました」(青木氏)

日立システムズは障がい者雇用の新たな施策として、社内の配属部署だけで「働き方」を考えるのではなく、新たな視点で「働く場所」を創出することで、さらなる雇用の拡大に取り組んでいます。

「チャレンジングな施策ですが、2019年9月から6名の障がいのある従業員が、農園での業務に取り組んでいます。日立システムズグループでは、日立グループのサステナビリティ戦略の下、「SDGs(社会課題を解決するための持続的な開発目標)」の達成に貢献するために、さまざまな施策を進めています。本取り組みは、農園運営を通じた障がい者雇用によりその一助とすること、栽培した野菜を従業員へ届けることによりES向上を図ることを目的としています。農園で働く従業員は、『ほかの従業員の皆さんに新鮮な美味しい野菜を届けたい』『農園で自分が持つ力を発揮したい』と意気込んでいます。こうした農園の野菜の配布や農園見学会などを通して、ノーマライゼーションの浸透につなげていければと期待しています」(青木氏)

多様な人財の誰もが「明日も会社に行きたい」というエンゲージメントの醸成が大切だと考える日立システムズ。常にお客様と向き合い、人とITのチカラで、驚きと感動のサービスを提供するビジネスマインドは、誰もが「働きがいのある職場づくり」にも活かされているといえます。“気づき”と意識の共有を重視し、ダイバーシティの推進に注力する日立システムズは、障がい者雇用においても地道な取り組みを着実に積み上げ、新たな価値を創出していくでしょう。

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