花王プロフェッショナル・サービス株式会社
人財開発部
統括部長
小林 功 氏
花王プロフェッショナル・サービス株式会社(以下、KPS)は、花王グループの業務用品事業分野において、企画・製造から販売までの役割を担う会社です。「一歩家から出た先の『きれい』を創る」をキーワードに、フードサービス、レクリエーションサービス、メディカル・ヘルスケアサービスの三つの事業分野で、外食・食品加工やホテル、アミューズメント施設、病院・介護施設などの顧客に対して課題発掘から解決まで、トータルにサービスを提供しています。
そんなKPSでは、ダイバーシティ(多様性)から生まれる活力が会社の発展を支えるという考えのもと、企業理念の一つに「個の尊重とチームワーク」を掲げています。
「障がいも個性の一つです。必要なサポートをしながら一緒に進めることで、個々の能力がより発揮できるよう取り組んでいます。また、障がいの有無に関係なく、人には誰にも一人ひとりに特徴や個性があります。そこで、個性を活かして誰もが活躍できる会社をめざしています。その環境を作る重要な取り組みの一つが障がい者雇用でもあります。それは、障がい者が働きやすい職場は、誰もが働きやすい職場であると考えているからです。障がいがあるからこそ、周りに気づきを与えることもあります」
そうKPSの障がい者雇用について話されるのは、人財開発部統括部長の小林 功氏です。KPSでは商品の企画・開発から顧客に届けるまでの一連の流れをすべて担っているため、幅広い仕事があります。当然、障がいのある社員も、営業、営業のサポート事務、物流関連事務、人事など、様々な職場に配属され、それぞれ責任ある仕事を任せられています。
「私たちは、障がいの有無によって処遇や職務内容を分けることはしていません。それは、必要なサポートがあれば、しっかりと活躍してもらえることを知っているからです。そのため、必要なサポートについては、入社前から本人にしっかりとヒアリングを行います。また、当社には本社の他に、全国に5支社59営業所があり、勤務地によって設備や環境が違います。そこで、障がいのある社員の配属を予定している部門に、安心して働ける環境が整っているか、しっかりと事前に確認します。本人と配属先双方の状況を確認し、マッチングを図った上で配属を決定します。個々で必要なサポートについては、配属先だけではなく、人事からも積極的に働きかけ一緒に準備を進めています」
KPSでは、入社後に不安があるのは誰もが当たり前だと考えています。だからこそ、早く安心して働けるように会社側から積極的に働きかけ、必要な機器の準備などに努めているそうです。そうした取り組みによって、社員は早い段階から環境に慣れることができ、自分の長所を活かしながら業務に取り組めるといいます。
「『やりがいを持って働ける』という意見も多くいただいております。中には新たに取り組みたいことを見つけ、入社時とは違った部署で活躍されている方もいます。このように、自主性を尊重した配置検討もしています」
花王グループでは、これまでに多くの障がいのある社員を雇用してきました。そのノウハウをグループ全体で共有することで、KPSにおいても必要なサポートの提供などに役立てています。
「私たちが特に意識しているのが、障がいのある社員が困ったことや悩んでいることについて、相談しやすい環境を作りだすことです。花王グループには障がい者を支援するためのポータルサイトがあり、障がいに関する情報や配慮のポイントなど、蓄積されたノウハウをまとめた『障がい者雇用ガイドブック』を閲覧できるようにしています。また、社員が障がいの状況や希望する配慮事項を上長や同僚と共有するためのシートがあります。こうしたツールを本人やチームの方に活用していただくことで、何か困ったことがあった時に相談できる環境を整えています」
また、小林氏は、普段の業務からも話しやすい環境を意識しているそうです。
「効率を考えると、業務中の雑談は不要かもしれません。でも、少しだけ雑談を取り入れることで、個人的な話もしやすいような雰囲気づくりを心掛けています。相談しやすい環境は、スムーズな業務進行につながっていきます」
KPSの掲げる障がい者採用における求める人財像は、花王グループの求める人財像である「挑戦意欲、チームワーク、高い倫理観、グローバル視点、高い専門性」に加え「自身の障がいを前向きに捉え、やる気を持って取り組める人財」であると言います。社員の前向きさと意欲を生み出すのに大切なことが「誰もが働きやすい環境づくり」なのです。
「しかし、働きやすい環境づくりに完成はありません。現在、障がいのある社員には、営業職やスタッフ職など、幅広くご活躍いただいておりますが、さらに様々な部門で受け入れていけるよう、今後も環境やサポート体制を整えていきたいと考えております。また、社員に働きやすさを提供するためには、職場の理解が欠かせません。その点も、障がいのある社員が在籍するチームはもちろん、会社全体で理解を進めていけるよう、取り組んでいくことが課題と考えています。誰しも働く上で、悩みはあります。それをしっかりとヒアリングしながら解決し、事業を運営していくことが、会社の成長にもつながっていきます。私たちは障がいのある社員へのサポート方法を学ぶことが、他の社員へのケアやサポートにもつながると思っています」
KPSの環境整備はこれからも進んでいくことでしょう。