障がい者雇用の取り組み vol.113
2024/07/28

環境づくりを重視した
アクセンチュアの
障がい者雇用

プロフィール

アクセンチュア株式会社

人事本部 シニア・マネジャー
田川 享永
人事本部 マネジャー
千代崎 透我

「個の成長」と「仲間・社会への貢献」
を感じられる職場づくり

120か国以上でビジネスを展開し、社員数はグローバルで約75万人に及ぶ世界的な総合コンサルティングファームのアクセンチュア。同社では、「人材こそが最大の財産」という考え方から、社員の健康促進、個人の成長、社会・仲間への貢献などを重要なテーマにして誰もが働きやすい環境づくりに注力してきました。アクセンチュアは、職場の多様性と受容性が高い企業を認定するリフィニティブの「ダイバーシティ&インクルージョン・インデックス」では過去6年間で4度目となる世界第1位にランクイン (2023年)し、すべての社員にとって平等な職場環境になるよう取り組みを進めている企業です。アクセンチュアではインクルージョン&ダイバーシティへのコミットメントとして、「ジェンダー」「クロスカルチャー」「障がいのある方」「LGBTIQ+」「ウェルビーイング」という5つの領域で、すべての社員が活躍できる職場環境をめざして、数多くの先進的な取り組みをしてきました。

障がいのある方への雇用に対しても、Disability:INの「Disability Equality Index」において米国では8年連続でトップスコアに選出されています。また、2024年には日本においてもトップスコアで、‘2024 Best Places to Work for People with Disabilities’の認定を獲得しました。
アクセンチュアでは、一人ひとりの個性やスキルを生かして能力を発揮できるように環境整備、あるいはツール開発、多くの支援策を打ち出しています。現在、身体、精神、知的など様々な障がいのある社員が働いており、一般事務として事務サポート業務やソリューション・エンジニアとしてテクノロジーを活用してクライアントの課題解決を図る業務など、幅広い職種で障がいのある社員が活躍しています。
また、障がいのある人材が働きやすいよう特別な配慮がなされたサテライトを設け、社員一人ひとりが「個の成長」と「仲間・社会への貢献」が感じられる職場環境づくりを推進しています。「私たちは障がい者雇用における就労環境の整備を、一過性のものではなく持続的に日々のビジネスの中に組み込んでいく為に、社内の重要アジェンダとして取り組んでいます。特に2017年からは、ニューロダイバーシティ インクルージョンの観点から精神・発達障がいのある方を含め誰もが安心して働くことができる環境を整備しています。現在では、全体で数百名の規模に拡大しており、常時100種類以上の多種多様な業務を遂行しながら、社員一人ひとりがアクセンチュアのビジネスを支える活躍をしています。」

そう説明するのは、サテライトのマネジメントを行う人事本部 マネジャーの千代崎氏です。サテライトの開設により、障がいのある社員が担当する業務の幅が広がるとともに、スキル向上や成長する機会が得やすくなるなど、大きな成果が生まれています。現在は東京・横浜・大阪に合計6つのサテライトを展開していますが、今後はそれ以外の都市でも拠点を開設し、全国で障がいのある社員が活躍できる場を増やすというビジョンを掲げています。

聴覚障がい者の支援ツール開発など
障がい者が働きやすい環境づくりに注力する

Trans Communicator(トランスコミュニケーター)サテライトの開設とともに、アクセンチュアでは障がいのある方が自分らしく働き活躍できる環境づくりを目指し様々な制度・仕組みの導入やツール開発も手掛けてきました。短日短時間勤務、定期通院サポート制度、在宅勤務など個々に応じた合理的配慮の調整をできる制度の充実はもちろん、福祉の専門性に加え、アクセンチュアの価値観や文化を理解した上で社員の不安や困難に対し解決策を提案するジョブコーチの拡充や、自動ドアセンサーの設置、衝突防止・転倒防止のための点字カーペットの敷設といった施設・設備面の配慮にも注力してきました。また、アクセンチュアグローバルで提供されている「Accommodation Support Tool」では障がいの内容に応じた合理的配慮のためのツールを社員自身がリクエストすることが可能です。

加えて、アクセンチュアではクライアントの課題を解決してきたコンサルティングファームという自社の強みを生かした開発も実践しています。
アクセンチュアの日本法人が独自に開発した「Trans Communicator(トランスコミュニケーター)」は、聴覚障がいのある方とのコミュニケーションを円滑にするためのツールです。このツールは当社の聴覚障がいのある社員の意見も反映して、会議や打ち合わせの場での会話がリアルタイムで字幕として表示でき、会話履歴も記録される機能を備えています。これにより聴覚障がいのある方が会議中に議論に積極的に参加できるようになりました。当然、Trans Communicatorによって仕事の効率も向上し、聴覚障がいの方の成長速度も上がるなどの効果が生まれています」

そうTrans Communicator開発について説明するのは、人事本部シニア・マネジャー 田川氏です。こうした同社の障がい者が活躍できる環境整備への姿勢が広く知られるようになり、最近では障がい者の活躍できる環境づくりについて話を聞きたいという他社からの相談も増えているようです。

「私たちは、障がい者雇用がもたらす価値について社会課題の解決だけではなく、事業価値の創造や事業への貢献につながることを確信しています。これまでのサテライトでの実践を通じて、障がいのある社員は環境を整備すれば能力を発揮して、十分に活躍できることが分かりました。今後も引き続き、障がいのある社員にとって最適な働き方や環境整備に取り組んでいき、社員一人ひとりがCompassion(思いやり)やBelonging(帰属意識)を感じられる組織風土の醸成を追求していきます。そして将来的には、アクセンチュアで培った知見・洞察を社内外に広く還元することで、世界のI&D(インクルージョン&ダイバーシティ)や日本の障がい者雇用の発展に貢献していきたいと考えています」(千代崎氏)

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