障がい者雇用の取り組み vol.114
2024/08/20

理念の浸透による独自
の企業文化が障がい者
にとってより良い環境を創る

プロフィール

エーザイ株式会社

グローバルHRキャリアディベロップメント部 タレントアクイジショングループ
グループ長
飯島 みゆき
グローバルHRキャリアディベロップメント部 タレントアクイジショングループ
市野川 凌汰

hhc活動によって
人財が潜在能力を発揮できる環境を創出

飯島氏「チョコラBB」などで知られるエーザイは、一般用医薬品だけでなく医療用医薬品においても神経、がんやグローバルヘルス領域で様々な医薬品を開発・提供する研究開発型のグローバル企業です。また、同社は医薬品を提供するだけでなく、「人々の生ききる」を支えるために、「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献し、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」というヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念を掲げています。

このhhc理念を実現するために、日常と医療の領域で生活する人々の「生ききるを支える」活動を実践しています。それがhhc活動であり、具体的にはすべての社員がビジネス時間の1%を患者様や生活者の皆様とともに過ごし、それぞれの課題を抽出し、解決方法を探り、創薬やサービスを提供する形でビジネスへとつなげています。実は、こうしたhhc理念は本業である創薬やソリューションの提供だけでなく、人財の採用や育成の場でも活かされています。

「当社は2012年にエーザイ・ダイバーシティ宣言を発信して以来、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを強化してきました。性別、国籍、障がいの有無など様々なバックグラウンドを持つ多様な人財に対して、患者様や生活者の皆様の喜怒哀楽を第一に考えることと同じように寄り添うことで、各人が心身ともに健康で潜在能力を最大限に発揮できる環境づくりを心がけています。例えば、日本ではダイバーシティ&インクルージョンといえば女性の活躍にスポットが当たりがちですが、男女に関係なく子育て、介護や家事などをするために時間的制約を受けたり、病気や障がいにより身体的制約を受ける方々がいます。そうした抑制を受けざるを得ない人たちに対して、寄り添いながら課題を解決する方法を考えていく活動を行っています」

そのように人財に対する基本的な考え方を説明するのはグローバルHRキャリアディベロップメント部の飯島みゆき氏です。さらにhhcの理念に則った活動の中として、昨年から障がいのある大学生と同じ時間を過ごすことで「就職活動や働く際の悩み・不安」や「働くことへの期待」といった想いに触れる取り組みもスタートさせました。

「この活動で今まで知り得なかった障がいを持つ学生の悩みや不安を知ることになり、それらを払拭できる選考のあり方や支援のための施策を導入し、さらに障がい者が安心して働ける環境整備をしていく予定です」(飯島氏)

業務の切り出しや社外の専門家との連携で
さらに多くの障がい者が活躍できる環境をつくる

市野川氏ダイバーシティ&インクルージョンの強化に取り組んできたエーザイは、障がいのある社員の活躍分野が広いのも特徴の一つです。障がいの有無によって採用ポジションを一切限定することなく、実際に幅広い職種で障がいのある社員が活躍しています。それを可能にしているのが各職場でのきめ細やかな対応です。

「当社では障がいのある社員が様々な職場で活躍していますが、各職場で上長など周りの社員と本人が意見交換をしながらより良い環境を創っています。例えば、障がいによって車いすを使用している社員の一人は、その障がいの特性上、一般の人よりも水分を補給しなければならないのですが、冷蔵庫を開けてペットボトルを取り出すことができないため、同じ部署の社員がウォーターサーバーを設置することを提案し、それが実現しています。このように各職場において社員一人ひとりがhhc理念を実践することで、障がい者の方が能力を発揮しやすい環境づくりを行っています」

このように職場での事例を紹介するのは、同じくグローバルHRキャリアディベロップメント部の市野川氏です。
実はエーザイには、hhc理念という考え方に共感して入社した社員が多く、すでに同理念は企業文化として根付いています。そんな風土が障がい者が活躍できる環境づくりにも好影響を与えているといえるでしょう。そして今後の障がい者採用については、次のような方針を掲げます。

「これまでは障がいの有無に関わらず、分け隔てることなく働いていただくという基本方針のもと、社の事業をリードするような活躍を希望する障がい者の方を受け入れてきました。今後は希望する配慮に合わせて業務の切り出しなども積極的に行いながら、より多くの障がい者を採用することで、世界のヘルスケア課題の解決に挑戦し続ける当社で自己実現の達成ができる社員をひとりでも多く生みだしていきたいと考えています。同時に障がい者の方々がもっとイキイキと働くための環境づくりをしていくために、社内の創意工夫だけで完結するのではなく社外の専門機関と連携しながらアドバイスをいただくことも必要だと思いますので、そうした機関との協働の機会を増やしたいとも考えています」(市野川氏)。

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