障がい者雇用の取り組み vol.36
2014/06/30

ダイバーシティの
推進をはかることで
障がい者雇用への
意識が全社的に向上

プロフィール

清水建設株式会社

人事部ダイバーシティ推進室 室長
竹内 秀夫
人事部ダイバーシティ推進室
田中 幸恵

「ダイバーシティ推進室」の新設により
障がい者雇用に対する意識が全社的に向上を示す

清水建設株式会社清水建設が「ダイバーシティ推進室」を新設したのは、2009年4月。清水建設では長年にわたり障がい者雇用を行っていましたが、全社的な浸透は遅々として進みませんでした。法定雇用率がそれを如実に示しています。平成に入ったあたりでは1%を割っていた時期もあり、1%に乗ってからも長年、法定雇用率に達していなかったのです。それがダイバーシティ推進室スタート以降急速に改善、2014年現在では2.05%というところまで来ました。

「障がい者雇用について、全社の意識が向上しているのは間違いありません」(人事部ダイバーシティ推進室 竹内秀夫室長)

この“意識向上”の牽引役として職域開拓を進めているのが、ダイバーシティ推進室のスタッフです。その一人である田中幸恵さんに話を伺いました。

「以前、建築の専門学校を卒業した視覚障がい(視野狭窄)の方を採用しました。父親が大工さんで、子供の頃から父親の仕事に憧れていたものの、障がいのことからあきらめかけていたそうです。その方の配属先は、現場のサポートチーム。CADによる施工図の製作などが業務内容で、意欲を活かして仕事に取り組んでいただいています。施工現場での就業が難しくても、建築や直接現場に繋がる仕事ができる環境があるということで入社を決めたとのことです」

障がいのある社員にも安全な建設現場環境を作ることで
職域の拡大をはかっていくことが今後の大きなテーマ

障がいのある社員が身近で能力を発揮することで、各職場の理解も進んでいます。しかし、課題がすべて払拭されたわけではありません。

「事業の性格上、当社の場合、内勤従事者と建設現場従事者の社員比率は半々です。これまでは障がいのある方の職域のほとんどが内勤でした。しかし、業務の5割が現場のため、内勤だけではどうしても職域に限りが出てきます。ですから今後は、現場での職域開拓も進めていく必要があります。つまり、本業の核である建設現場で働くことのできる人材を創出していきたい。まだ私の個人的な思いではありますが、将来的に大きなテーマになっていくと考えています」(田中さん)

次の竹内さんの話は、この“大きなテーマ”に関連しています。

「現在、当社では、バリアフリーの研究の一つとして、アクセシビリティに優れた建物をどう造っていくかということに力を入れて取り組んでいます。アクセシビリティに優れた建物は、誰にでも優しい建物になるはずです。その実現には、障がいのある社員の経験や感性などを確実に活かしていけると考えています。言葉を変えるなら、これは彼らの個性が企業価値の向上につながるということです」

竹内さんが言われる建物の建設を確実に行うためには、机上の作業だけでなく、障がいのある社員が現場で活動する必要性も起こってくることでしょう。

「建設現場では、安全性を一番に作業を行います。そのため、障がいのある方が職場として入りにくいわけです。しかし、そうした方たちに安全な現場環境は、どんな人にとっても現在以上に安全な環境でもあります。建設業は雇用人数が大きな分野であり、多様性も高いものです。ですから、より安全な現場環境の構築を進めることができれば、『そういうやり方もあるのだ』ということで、障がいのある方たちに対する職域拡大と雇用創出に大きな好影響をもたらすものと思っています」(田中さん)

障がい者支援活動にも積極的に参加

「ACE(一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム)」をご存知の方は少なくないと思います。設立は、2013(平成25)年9月。ACEの目的は、「障がいというダイバーシティを活かした新たな価値の創造と企業風土の変革、そしてインクルーシブな社会の実現を目指し、企業の成長に資する新たな障がい者雇用モデルの確立と、企業の求める人材の社会に対する発信」を行うことです。

ACEでは「対象とする障がい者の人物像」として、①「仕事に対する潜在能力があるにも拘わらず、障がいに起因する何らかの妨げによって、それを発揮することの出来ていない社員」、②「キャリアを重ねた暁には、管理者として、あるいは専門職のリーダーとして活躍するような能力を持つ社員」、③「自らを成長させていく強い意志を持つ社員」、④「自分の障がいを良く理解し向き合っている社員」を挙げています。

清水建設株式会社は、このACEのメンバーの一社です。

「ACEでは、障がいのある方を単に雇用するというのではなく、障がいを一つの個性と捉え、その方独自の感性なり感覚なりを業務に活かし企業の価値を高めることを理念としています。それが可能な時代になってきた、それをいっそう推し進めていくのが真の企業責任である。当社は、この理念に賛同して参加しました」

竹内さんは、ACEに参加した背景をこう説明します。

また、清水建設では、障がい者スポーツ支援を目的とするNPO法人「STAND」の理念に共感し、「二宮清純×STAND 挑戦者たちプロジェクト」に協賛。加えて、全国で開催される障がい者スポーツ体験会を積極的に応援するのと併せ、役員、従業員とその家族もボランティアとして今後参加していく予定です。STANDのホームページに清水建設が寄せた一文には、本業との関連で次のことが記されてしています。

「今後、当社は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、建設を通して、高齢者、障がい者にやさしい街づくり、施設づくりに貢献してまいります」

最後に「これからも多様な人材の多様な能力を活かす事で企業価値が高まる事を期待しています」という竹内さんのコメントに、清水建設の障がい者雇用を含めたダイバーシティ推進の意気込みを感じました。

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