障がい者雇用の取り組み vol.91
2019/12/05

全社的な理解を深め
多様な人財の活躍を
支援することで
業務拡大をめざす

プロフィール

全日本空輸株式会社(ANA)

人財戦略室 ANA人財大学 業務推進・採用チーム マネージャー
植野 功一

森本 健

入社前から配属部署とのマッチングを図ることで
誰もが活躍できる人財へと成長することを促進

うえのさん2015年4月に「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を策定し、多様な人材の活躍を推進している全日本空輸株式会社(以下ANA)。人財戦略室 業務推進・採用チームの植野さんと森本さんの2人に、障がい者雇用の取り組みについてお話を伺いました。

ANAでは、大きく分けて総合職で採用するグローバルスタッフ職(GS職)と、より障がい者が働きやすい環境を整備したエキスパートスタッフ職(ES職)での採用活動が行われています。

「当社の採用活動では、ダイバーシティ&インクルージョンの考えのもと、ANAの業務拡大とさらなる成長につなげるための人財像とマッチしているかどうかを重視しています。エキスパートスタッフ職(ES職)の採用においては、障がい内容を考慮しつつ、各自が最大限にパフォーマンスを発揮することで当社と自身の成長につなげていただけるかを最優先に考え、配属先を決定しています」(植野さん)

「私はES職として2018年に入社し、現在、採用チームに所属しています。私自身も聴覚に障がいがありますが、当事者にしかわからないことを社内の他のチームの方に伝えることで、障がいがあっても安心して働ける職場づくりをめざしています。また、就活中の障がいのある学生の方に不安を解消してもらうためにも、自らの体験や経験を伝えることでANAに安心感を持って入社していただきたいと考えています」(森本さん)

森本さんの配属先も、ANAならではの方法で決定したそうです。
「ES職社員の配属先に関して、入社前に内定者本人と配属予定先の上司が面談する場を設けています。仕事内容や必要となる配慮などを事前に相談することで、入社後のスムーズな受け入れを可能にしています」(植野さん)
内定段階から配属先についての面談を重ねることは、採用スタッフにとって時間や労力のかかる取り組みといえます。その手間を惜しまず、社員一人ひとりが最大限にスキルを発揮できる職場づくりをめざすANAの姿勢がうかがえるエピソードです。

障がいのある社員が自ら情報を発信し、
周知を図ることで理解を促進する

もりもとさん森本さんの発案で2019年からスタートした障がい者雇用における取り組みがあります。
自分の障がいを認知してもらうことの重要性をアピールするために、障がいのある社員が自分から情報を発信する『私のトリセツ』と題した取り組みです。

「自分の障がいについて『どのような時にどうなるのか』『このサインが出たら周囲も協力してほしい』など、自ら情報を発信することで周囲が情報を共有し、更なる理解促進が図れます。体調不良などが起こった後の対応も大切ですが、未然に防ぐための働き方やよりスムーズなコミュニケーションを考えるという意味でも『私のトリセツ』は有効だと思います」(森本さん)

この「私のトリセツ」は、障がい内容に対する理解不足によるコミュニケーションの難しさを森本さんが就職活動中から感じていたことに起因しています。聴覚障がいの方は会話でのコミュニケーションができないというイメージがありますが、森本さんは幼少時からの訓練で読唇法と発声によるコミュニケーションを身につけており、「自分から情報を発信することで理解促進につながり、より良い信頼関係が生まれる」という森本さんの体験を活かした発案でした。

「当社では『私のトリセツ』のような情報発信と共に、受け入れ側のマネジメント力の向上にも取り組んでいます。ES職社員が配属される部署の管理職を対象に、外部講師を招いた『障がい理解周知セミナー』を行っています。受け入れ側のマネジメントが整っていなければどんな制度も有効活用できません。また、ANAには『メンター制度』というものがあり、これは通常の業務指導や教育を行うインストラクターのような存在ではなく、入社1年目という色々不安を感じる時期に、長期間にわたり業務以外の面、例えば生活面やちょっとした相談にも乗ってもらう存在ですが、これをES職にも導入し、より日々のサポートが細やかに行える体制を整えています。メンターになるのは比較的年齢が近い先輩社員なので困ったときに気軽に相談できると好評です」(植野さん)

こうしたANAの取り組みの根底にあるのは、社員一人ひとりが働きやすい職場づくりをめざし、さまざまな改革や改善にチャレンジするという姿勢です。

「当事者である私自身がロールモデルとして尽力することで、ANAが、そして社会が、障がいがありながらもイキイキと働ける環境になっていけばと思っています」(森本さん)

同じく制度設計などに携わる植野さんも次のように今後の取り組みについて説明します。
「当社では障がい者雇用に関する取り組みを積極的に行っておりますが、まだまだできることはあると考えています。これからも様々な取り組みで、各自が最大限にスキルを発揮できる職場づくりをめざしていきたいと思います。」

「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を策定し、社員一人ひとりが最大限にスキルを発揮できる環境づくりをめざすANA。その真摯な取り組みは、障がい者雇用を考える上でも大いに参考になるでしょう。

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