障がい者雇用の取り組み vol.094
2020/02/13

特例子会社の知見を
グループ内で展開し
誰もが活躍できる
環境をつくる

プロフィール

日本航空株式会社

人財戦略部 人財戦略グループ
グループ長
百田 寛
人財戦略部 人財戦略グループ
マネジャー
田村 雅

ダイバーシティ&インクルージョンで
多様な人財の力を総動員し、
活力ある組織づくりを実践する

ももたさん2014年にトップコミットメントとして「ダイバーシティ宣言」を打ち出し、性別・年齢・国籍・人種・民族・宗教・社会的身分・障がいの有無・性的志向・性自認・出身会社などの属性によらず誰もが生き生きと活躍できる会社をめざしてきたJALグループ。ベースにあるのは、グループ全社員が持つべき意識・価値観・考え方である「JALフィロソフィ」の学びや実践です。その上で、新入社員研修や新任管理職研修など様々な研修の場を通してダイバーシティ&インクルージョンや人権に対する理解を深めるなどの取り組みを行い、異なる経験や価値観、新たな視点を持つ多様な人財の力を総動員し、活力ある組織づくりを実践しています。

「JALグループでは、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みの一環として、障がい者が活躍できる環境づくりにおいても、これまで積極的な取り組みを実施してきました。その中でも障がい者雇用の拡大をはじめ、障がい内容や社員の個性・能力に応じた業務の提供という面で大きな役割を果たしてきたのが1995年に設立されたJALグループの特例子会社、JALサンライトです。同社には障がいのある社員が約200名所属しており、社員の日常やライフプランを支える業務、社員の仕事を支える業務、空の旅を支える業務など、3つの領域で活躍しています」

そう障がい者の活躍分野について説明するのは日本航空の人財本部人財戦略部人財戦略グループグループ長の百田寛氏です。障がい者が活躍している3つの分野をもう少し具体的に説明すると、「社員の日常やライフプランを支える業務」には給与・税務関係、社会保険・貯蓄形成などの福利厚生関係事務をはじめ、JALグループ社員専用のマッサージサービスやカフェ運営など多彩な業務を行っています。「社員の仕事を支える業務」では、社内のメイリング業務・名刺やIDカード作成などの事務サポート、社員の海外出張の航空券手配などの渡航サポートなどがあります。そして「空の旅を支える業務」では発売航空券に関する審査およびクレジットカード清算などを行っています。

こうした多彩な業務を行うJALサンライトに所属する社員の障がい内容も多岐にわたり、肢体、視覚、聴覚、内部、精神、知的障がいなどがある社員が適材適所で働いています。積極的な採用、定着サポートを行ってきた結果、日本航空とJALサンライトの雇用率は、2.69%という高い数字を誇っています。

特例子会社のノウハウをグループ各社で
共有し、働きやすい環境を整備する

たむらさん障がい者の活躍フィールドを拡大してきたJALサンライトには、様々なノウハウが蓄積されています。そこで、これらのノウハウや経験を、日本航空をはじめとしたJALグループ各社で情報共有することで、障がい者が活躍できる領域の拡大を図ってきました。

「JALグループには多くの関連会社がありますが、中には組織の規模が小さい会社もあり、それほど障がい者が在籍していないために社内だけではなかなかノウハウが蓄積できず、対応方法がわからないという悩みもありました。そこで、JALサンライトが長年にわたり培ってきたノウハウをグループ内の会社に水平展開することで、障がい者が活躍できる環境づくりを行っています」

そう話すのは、日本航空の人財本部人財戦略部人財戦略グループマネジャーの田村雅氏です。例えば、障がい者を採用する際には何を事前に確認すれば入社後のミスマッチが防げるか、障がい内容と業務のマッチングの在り方、採用後の職場定着のためのフォローアップ方法などをグループ内で共有することで、各社の障がい者雇用促進につなげています。そのような取り組みもあり、グループ全体では、現在600名を超える障がいのある社員が活躍しています。

「日本航空で働く障がいのある社員は、基本的には他の社員と分け隔てることなく働いていただいています。ただし、業務を遂行する上で周りが配慮すべき点もあるので、管理職を対象にした評価者研修などで、障がいのある社員と一緒に働く場合にはどういった点に配慮すべきか、スムーズなコミュニケーションの取り方、受け入れ態勢など、障がいへの理解促進を図っています。また、移動にバリアを感じているお客さまに向けたサービスについて障がいのある社員が当事者の視点から検証したり、客室乗務員を対象にした手話講座で障がいのある社員が講師として手話を教えたりすることで、サービス向上を図るなどの取り組みも行っています」(百田氏)

こうした取り組みは、お客さまへのサービス向上のみならず、ともに働く障がいのある社員への理解促進や、活躍の場の拡大にもつながっているといいます。

さらに同社では誰もが活躍できる基盤整備として、ワークスタイル変革にも積極的に挑戦しており、間接部門を中心にテレワークによる働き方も推進しています。テレワークは理由を問わず活用できるため、その利用実績も年々大幅に増加しており、障がいのある社員にとっても通勤の負担が減るなど、さらに働きやすくなると予想されます。ダイバーシティ&インクルージョンを掲げて、多様な人材が活躍できる環境づくりに挑戦し続けるJALグループ。その歩みはさらに加速していきそうです。

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