クリナップ株式会社
人事部 人材開発課
後藤 浩 氏
人事部 人材開発課
大竹 務 氏
システムキッチンをはじめバスルームや洗面化粧台などの水回り製品を提供し、人々の快適な暮らしに貢献するクリナップ。「家族の笑顔を創ります」という企業理念を実現するために、すべての社員がお互いを認め合いながら、一人ひとりの能力を生かして働ける環境づくりに積極的に取り組んでいます。
「個々の違いをチームの力にするために、誰もが”安心して自分らしく働ける環境づくり”を推進するため、2026年4月にDEI推進課を新たに設置しました。性別、年齢、人種などの属性や価値観に関係なく、多様な人材が能力を十分に発揮できるように[Diversity(ダイバーシティ:多様性)、Equity(エクイティ:公平性)、Inclusion(インクルージョン:包括性)]を推進しています。その一環として障がい者の採用も以前に増して力を入れています。
基本的には障がいの有無に関係なく、求職者の就労意欲や人柄、能力を公平に評価して採用しています。ただし障がいによって得意なこと、苦手なことがありますから、その点においては配慮事項を選考段階から双方で丁寧にすり合わせることで、入社後のミスマッチを未然に防いでいます。結果として、配属後の定着や活躍にもつながっていると感じています」
そのように障がい者に対する考え方を説明するのは人事部の後藤氏です。
同社の職種は大別すると「企画・管理スタッフ」と「一般事務・営業事務職」があります。企画・管理スタッフは、会社の事業や運営などに関する事項を提案し、企業の成長を推進する役割を担い、一般事務・営業事務職は事業や運営に関する事務処理などの定型的な業務を遂行する職種です。
障がいのある社員も同様に2つの職種で採用され、能力やスキルに応じて各部門で活躍しています。近年では、これまで事務系中心だった配置から一歩進み、本人の志向や適性に応じてより専門性の高い業務へとフィールドが広がりつつあります。
「障がいの有無に関係なく、就労意欲にあふれた人材を採用していますが、選考過程において大切にしているのが協調性やコミュニケーション力です。当社では目標を達成するためにチームで協力し合いながら仕事を進める企業文化があります。
そのため障がい者採用においても、周囲と連携しながら主体的に業務に取り組める方を求めています。一方で、障がい特性によってコミュニケーションの取り方や業務の進め方に個人差があることも理解していますので、配属後は上長や人事が継続的にフォローし、業務の切り出しや役割の調整を行うことで、無理なく力を発揮できる環境づくりを進めています」
このように障がい者採用の在り方を説明するのは、人事部の大竹氏です。
クリナップ本社では幅広い部署で障がいのある社員が活躍しています。人事などの管理部門だけではなく、本人の希望や適性、また必要な配慮内容を丁寧にヒアリングしたうえで、営業のバックオフィス、工場などの製造現場へ配属するケースも増えてきました。実際に現場では、工程の一部を担うことで生産性向上に寄与する事例も生まれており、障がい者の活躍フィールドは着実に広がっています。
障がいのある、なしに関わらず、各人の能力を最大限に発揮できる環境を整えているクリナップでは、特例子会社においても多くの障がい者を雇用しています。
2008年に特例子会社のクリナップハートフルを設立し、人事関連の定型業務、名刺制作などの業務をスタート。その後、本社の管理部門で行っていた各種入力や新入社員の登録手続きといった業務を切り出して請け負うなど、グループ全体の業務効率化にも貢献しながら、特例子会社としての役割を広げてきました。
「特例子会社では、2016年には本社の事務補助的な業務だけでなく、新しくフードサービス事業を立ち上げました。この事業は知的障がい者の雇用拡大とともに、当社の創業の地である西日暮里への地域貢献という側面からスタートしました。
それまでも地域のお祭りなどのイベントに積極的に参加していましたが、より日常的に地域と接点を持つ取り組みとして、保育園にお子様を預ける保護者の方々をはじめとした地域の方々にパンやクッキーを提供するサービスを開始しました。現在では“地域に根差したベーカリー”として定着し、従業員にとってもやりがいを実感できる職場の一つとなっています。
設立から20年近く、段階的に事業を拡大してきた結果、クリナップハートフルでは30名以上の障がいのある社員がそれぞれの役割を担いながら活躍しています」(後藤氏)
このように本社と特例子会社の双方で障がい者が活躍できる場の拡大を図っていますが、同社では今後さらに職域の拡大と、多様な障がいのある人材の受け入れを進めていく方針です。
「本社で活躍している社員のなかには、さまざまな障がいのある方が在籍しています。例えば内部障がいの社員で通院配慮が必要な場合には、フレックスタイム制度や有給休暇を柔軟に活用いただく、また、聴覚障がい社員には、筆談やチャットツールの活用、会議時の資料事前共有など、コミュニケーション手段の工夫を実施するなど、無理なく働ける環境を整えています。
今後はさらに受け入れの幅を広げるために、各職場へのヒアリングを通じて業務の細分化や再設計を進め、“どのような仕事であれば活躍できるのか”を具体的に整理していきたいと考えています。また、現場社員への理解促進やマネジメント層への研修なども強化し、誰もが自分らしく働き、周りの人を笑顔にできる会社」を目指して、障がい者雇用をこれからも真摯に進めていきます。」(大竹氏)